能登半島地震、福井県内企業も支援次々 継続的に寄付、ボランティア派遣や物資提供 医療システムの無償提供も

能登半島地震の被災地に支援物資としてアウトドア用品を送る準備をするカンパネラの社員=1月12日、福井県坂井市春江町針原の同社

 能登半島地震の発生を受け、福井県内の企業が続々と支援策を打ち出している。小売業では売り上げの一部の継続的な寄付を発表する企業が相次ぎ、勤務の一環としてボランティア派遣の準備を進める動きもある。商業施設では一部のテナントが始めた寄付の取り組みが拡大。システム開発のベンチャー企業は医療機関に対するシステムの無償提供を進めており、企業それぞれの強みを生かした支援が始まっている。

 伝統工芸「輪島塗」の産地、石川県輪島市が甚大な被害を受けたことを受け、越前漆器産地の鯖江市河和田地区に本社を構える木製雑貨製造販売などのHacoa(ハコア、市橋人士社長)は、毎月の売り上げの一部の寄付を発表。市橋社長は「同じ漆器の産地で親睦の深い輪島の大きな被害に胸が張り裂けそうな思い。今できることを行いたい」と話す。

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 アウトドア用品店運営などのカンパネラ(坂井市、平岡和彦社長)は石川県の災害義援金に200万円を寄付。引き続き、売り上げから毎月200万円程度の寄付を少なくとも1~3月に続ける。加えて自社で取り扱う商品群の中から被災地で役立つテントや寝袋などの提供に向け、県に確認しながら準備。既に太陽光充電ライト100個を珠洲市に発送した。ボランティアの受け入れが始まれば、志願する社員を業務として派遣する計画だ。

 コンビニなど運営の大津屋(福井市、小川尚樹社長)が、全小売店の1~6月分の売り上げの0.1%を寄付すると発表。そのうち2店舗が入居する福井市のハピリンでは、ほかの小売業や飲食業の13店舗も取り組みに賛同し、ハピリンモールテナント会(齋藤敏幸会長)として寄付を行うと発表した。

 セキュリティーシステム開発のビットブレイン(同、斎藤智示社長)は、自社開発の医療用システム「SPG-リモートメディカル」を被災地の医療機関に無償提供する。電子カルテや画像情報などの閲覧や書き込みが院外の端末からも可能になる。避難所などから被災者を救急搬送する際、現場の医師の所見をまとめた電子カルテを搬送先の病院と共有し効率的な救護や救命につなげようと、関係者と調整を進めている。

 県内上場企業では、セーレン(同、川田達男CEO)がグループ全体で1100万円の寄付を発表。ほかの上場企業でも寄付を検討する動きがみられる。

 そのほか、県内の複数企業が避難所などと連絡を取って物資を届ける支援を始めている。ただ、仕分けスタッフの不足などで受け入れ態勢が整っていない避難所もあり、石川県は「道路の破損により、物資持ち込みの車両がパンクして渋滞を引き起こしているケースもある」と指摘。企業、団体からのまとまった物資提供は、事前に石川県に連絡するようホームページなどで呼びかけている。

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