“戦後最悪”といわれる火災も消防士18人が殉職 広島で繰り返される大規模な山火事 瀬戸内海沿岸部は国内でも“多発”地域

瀬戸内海沿岸は、国内でも山火事が多発する地域です。広島県でも、今回の江田島市のような大規模な山火事が発生しています。

平成以降で最も大きな規模となったのは、2004年に現在の尾道市・生口島で発生した山火事です。

当時のレポート
「大きな火があがっています。警察から下がるように指示が出ました。次々と、山のふもとまで火が迫っています」

2月14日の夕方に発生した山火事は、強風にあおられて一気に燃え広がります。

当時の住民
「最悪でしょう。春一番で」

火は、住宅までわずか数十メートルまで迫りました。

当時のレポート
「先ほどから強い風にあおられて、時折、火の粉が住宅街の中を通り過ぎていきます。焦げ臭いにおいもします」

火が消し止められたのは、出火から8日後…。島の面積のおよそ1割にあたる390ヘクタールが焼けました。大規模な山火事の発生は、空気が乾燥する冬場や春先だけではありません。

台風で再燃…1994年 広島・竹原市の山火事

当時の消防隊
「逃げ道だけ確保しておけよ」

1994年、竹原市で山火事が発生したのは、8月でした。

当時のレポート
「火の方は、まったく衰える気配はなく、風にもあおられて、どんどん燃え広がっております」

8月11日の午後に発生した山火事は、およそ26時間後に延焼は食い止められました。しかし、その6時間後に再び出火します。近づいていた台風の強風により、火が再燃したとみられています。強い風により火は、住宅のすぐそばまで迫ります。

当時のレポート
「火は山肌を滑り落ちるように、勢いよく燃え広がっています。とにかくすごい煙で、太陽の光を遮っていて、真昼だというのに、不気味に薄暗くなっている」

最初の山火事と合わせて、およそ350ヘクタールが焼け、火は9日たってようやく消し止められました。

消防士が18人殉職…“戦後最悪”といわれる1971年 広島・呉市の山火事

「戦後最悪」といわれる山火事も、広島で発生しています。1971年4月、呉市の灰が峰で、たき火が燃え広がり山火事になりました。この山火事では、突然勢いを増した炎と煙に襲われ、消火活動中だった消防士18人が殉職しました。

この悲劇をきっかけに、日本の山火事への対応は、大きく変わります。延焼している場所は上空からヘリコプターが…。地上の消防隊は、「焼けた跡」に入って、活動するようになったのです。

今回の江田島市の山火事では、16日午前の時点でおよそ240ヘクタールが焼けました。焼失した面積では、平成になって以降、県内で4番目の規模となっています。

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