千本販売できず 高岡特産「国吉りんご」ジュース 氷見、金沢の受注先が被災

振興会が販売する「くによしりんごジュース」。受注先が被災した影響で販売できない状況となっている=高岡市国吉

 高岡市の特産「国吉りんご」を栽培する国吉農林振興会の1月からの主力商品である「くによしりんごジュース」約千本が販売できない状態となっている。毎年販売していた氷見、金沢市内の旅館や土産品店が能登半島地震で被災したため注文が途絶えた。幸いリンゴの倒木被害はなかったが、関係者は「地震による間接的な被害は大きい」と嘆いている。

 同振興会は約3.9ヘクタールのリンゴ園で国吉りんごを栽培している。リンゴの実の出荷は、早生(わせ)品種は9月から始め、主力品種であるふじは12月末ごろまで続く。1月からは加工したジュースやジャムなどを販売しており、加工品の中でもジュースは一番の売れ筋。直売所で販売するだけでなく、富山県内外の施設などに納品している。

 毎年、ジュースの完成を得意先などに知らせると、数日以内に「すぐにほしい」と連絡があり、配達や宅配便の手配で忙しくなるが、今年は地震による被害で休業しているとみられる氷見市や金沢市の約10社から返信がない。推計では1リットルと180ミリリットルの2種類合わせて約千本が現時点で売れ残る見通しとなっている。同振興会の伊東寿代表(64)は「確実に売れる販売先が不透明となったのは痛手だ」と話す。

 ジュースは5月から夏にかけてさらに販売本数が増える。伊東代表は仮に店舗が営業を再開しても、観光地の客足が伸びないことを危惧。「昨年までのように売れないのではないか」と、問題の長期化も覚悟する。

 同振興会は、地元高岡で開かれるイベントなどでジュースを活用してもらえるようPRを強化する方針だ。伊東代表は「地震の復旧が一番だが、少しでも多くの人にジュースを味わってもらえるよう努力を続けていきたい」と前を向く。

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