長野が全国1位なぜ…横断歩道での車停止率ワースト3位の福井との差、JAFと福井大学が調査

 日本自動車連盟(JAF)が調査した信号機のない横断歩道での車の一時停止率は、福井県が20%台なのに対し、長野県では80%を超える。同じ車社会、この大きな差には一体何があるのか。長野県の実態を探ろうとJAF福井支部などが独自に調べた結果、停止率向上の秘訣は「歩行者の渡る意思表示」にあり、ドライバーの歩行者優先意識の醸成という好循環につながっていた。車優先意識が強い福井県とは対照的のようだ。

 JAFによる昨年の調査で福井県の停止率はワースト3位の26.7%。一方、84.4%を記録した長野県は、調査開始以来8年連続の1位となった。全国平均は45.1%。⇒全国ランキングはこちら

 JAF福井支部と福井大学は昨年6月、長野から停止率向上のヒントを探ろうと、長野市内の信号機のない横断歩道で、渡ろうとしている歩行者がいるときに車が減速もしくは停止したかを独自に調べた。計114台のうち減速した車が36台、停止した車が56台となり、JAFの全国調査を裏付けるように、8割のドライバーが歩行者優先を心掛けていることが分かった。

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 歩行者が立っている側の車線を走る右からの車も、反対車線を走行する左からの車も減速、停止率に差はなく、ドライバーの意識の高さがうかがえる。

 長野県警や長野市の担当者へのヒアリング調査も行った結果、▽横断歩道付近でまぎらわしい行動をとらないよう子どもたちに指導している▽止まったドライバーにお礼をする習慣がある▽一時停止する車が多く、自然と歩行者優先の意識が広まっている―といった結果を得た。

 昨年12月に福井市内で調査報告会があり、長野の高い停止率には「歩行者が渡るそぶりを見せて堂々と渡っている」「横断歩道が近づけば前方、対向車が止まるだろうから自分も停止しないと危険、という好循環が起きている」と考察した。都市・交通計画を専門とする福井大の川本義海教授は「福井は歩行者が遠慮して、渡る意思をドライバーに示しきれていない」と指摘。「ドライバーだけでなく、歩行者の意識を変えれば停止率の向上につながるはず」と話していた。

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