「新生シリコンアイランド九州」実現へ 十八親和など11銀行が連携協定 中小企業の参入など後押し

連携協定を結び会見する(右から)五島福岡銀頭取、山川信彦十八親和銀頭取ら=東京都内

 十八親和銀行(長崎市)など九州・沖縄の主な地方銀行11行は16日、半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出や関連産業の投資活発化を受け、半導体産業の振興に向けた連携協定を結んだ。半導体関連企業が集積する「新生シリコンアイランド九州」の実現に向け、金融グループの垣根を越えてサプライチェーン(供給網)への中小企業の参入などを後押しする。
 11行はほかに福岡、西日本シティ、筑邦(いずれも福岡)、肥後(熊本)、佐賀、大分、宮崎、鹿児島、琉球(沖縄)、沖縄銀行。TSMCの工場建設や関連企業の集積に伴い、雇用創出や交流人口拡大への期待が九州全域で高まる中、各行の強みを生かしてシナジー(相乗)効果を発揮し、半導体を起点とするほかの産業や社会インフラの強化を図る狙い。今後はサプライチェーン強化をはじめサスティナビリティ(持続可能性)推進などに連携して取り組む。設備投資資金の協調融資のほか、ファンドの組成を想定。政府系金融機関との協力も検討する。
 東京都内で11行の頭取らが記者会見し、共同発起人の一人である福岡銀行の五島久頭取は、九州の大規模な半導体設備投資を巡り、2030年まで10年間の経済波及効果が約20兆円と推計されると言及。「普段はライバル同士の銀行が、連携して九州・沖縄の経済全体のパイを大きくすることを目指す。その上で健全な競争をすることは、地域に貢献し、各行の成長にもつながる」と話した。

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