女子学生を応援、毎月1回夕食会 自活・困窮者向け、山形のNPOが開催

手作りピザやフルーツでいっぱいの食卓を囲む女子学生ら=2023年12月、山形市

 山形市の女性応援NPO「Sisterhood(シスターフッド)」(小笠原千秋代表)は、毎月1回、経済的に苦しい一人暮らしの女子学生たちを対象に共に夕食を作り食事する会を開いている。手を差し伸べながら、新型コロナウイルス禍真っただ中の入学で新たな交流が少なかった学生に「地域とのつながりを持ってほしい」と願う。学生は和やかに食卓を囲み「1食でも無料なのはありがたい」と感謝する。

 同団体によると、家庭の事情などから奨学金やアルバイトで生活費や学費を自ら賄い、日々の費用を切り詰める学生は少なくないという。進学費用は「男兄弟にしか出さない」との家庭もあるといい、小笠原さんはこうした女子学生たちの悔しさに共感。昨年4月から「みんなで作ろう 夜ごはん」と題して始めた。

 昨年12月は17日に山形市のアパートの一室で開き、一人暮らしの学生8人とボランティアの女性2人が集まった。メニューはピザなど。食材は同市コミュニティファンド(市民活動支援基金)の補助を受け購入している。学生はたわいない話題で盛り上がり、にぎやかな食事を楽しんだ。

 給付型と貸与型の奨学金で生活をやりくりする山形大地域教育文化学部3年佐藤なつみさん(21)=山形市=は「肉や野菜はなかなか買えない」と話す。コロナ禍の入学のため人との関わりも少なかったといい、「誰かと食べるのが楽しい」と笑顔を見せた。

 同団体はフードドライブ・フードパントリー事業、委託を受け生理用品の無料配布も行う。親の援助を受けず自活する同3年倉内はる菜さん(21)=同=は、「生理用品や奨学金返済の話題などを気楽に話せる」と語った。

 小笠原代表は「卒業までつらい思いをせずに、安心して過ごしてほしい」と話す。山形大生の参加が多いが「他大学の学生も参加しやすいよう、山形のいろいろな場所に居場所をつくりたい」と今後を見据えた。

 次回は今月21日に開く。問い合わせは同団体のメールアドレスsisterhood.npo@gmail.com

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