寒河江-西川間“三山電車”の歴史残す 西川の保存会、CFで修繕費募る

屋外展示されているモハ103=西川町・月山の酒蔵資料館

 かつて寒河江―西川間を走り、現在は西川町の「月山の酒蔵資料館」に展示されている旧山形交通三山線の木造車両「モハ103」が、老朽化や雪の重みで保存が困難になっていることを受け、三山電車保存会(古沢勝広会長)は車両の修繕費を募るCF(クラウドファンディング)を始めた。目標額は850万円で、来月29日まで募集している。

 モハ103は1926(大正15)年に三山線の第1号車両として製造され、住民や出羽三山への参拝客を運んだ。74(昭和49)年に同線が廃止され、資料館を運営する設楽酒造店の先代社長が車両を引き取り、76(昭和51)年から屋外展示している。大正時代の木造車両の展示は、全国的にも珍しいという。

 2018年冬に、積雪によって屋根の一部がつぶれ、現在は雪よけの屋根が設置されているが、老朽化により長期間の保存が困難な状態だった。資金面の課題も浮上しており、同会は目標額に達しなかった場合、今後、修繕事業を行うことができないとの見通しを示している。

 16日に同資料館で記者会見があり、古沢会長は「町の貴重な財産を継承できる最後のチャンス。歴史を後世に残したい」と思いを語った。寄付額が集まって修繕できた場合、車両は町に寄付する。町は、多くの人が訪れる場所に展示し、交流人口拡大を図るとしている。

 寄付金はCF専用サイト「レディーフォー」か、道の駅にしかわなどの町内観光施設で配布される申込書で募っている。5千円から寄付でき、返礼品として、三山電鉄切符のレプリカや、オリジナルラベルの日本酒、修繕作業の見学、参加などがある。問い合わせは同会事務局090(4810)2167。

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