小泉前町長、収賄認める 志賀町贈収賄事件・金沢地裁で初公判 検察「議員らに頼まれ不正」

初公判後、車に乗り込む小泉被告(左)=17日午前11時28分、金沢地裁

 志賀町発注工事の入札を巡る贈収賄事件で、加重収賄、官製談合防止法違反などの罪に問われた前町長、小泉勝被告(57)=同町町(まち)=の初公判は17日、金沢地裁(野村充裁判長)であった。起訴された事件3件のうち2件の審理が行われ、小泉被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側は、被告は町長就任後ほどなくして、議員らから頼まれて入札の不正をしていたと指摘した。

 検察側は冒頭陳述で、被告は2009年に町長に就任してほどなくして、知人の土木業者から頼まれて入札の最低制限価格を教え、謝礼の現金を受け取るようになったと指摘。「それを機に複数の業者や議員らから頼まれて同価格を教えていた」と明らかにした。

 検察側は、小泉被告は最低制限価格を決める際、価格を計算表に記入し手元に保管していたと説明。賄賂の受け渡しは、被告の自宅や被告が経営するガソリンスタンドで行われていたと述べた。

 起訴状によると、小泉被告は昨年6月に町が実施した道路工事の入札で、米木工務店(同町)社長の米木義則被告(68)に最低制限価格2491万9千円(税抜き)を教えて同社に同額で落札させ、20万円を受け取ったとされる。

 また、同7月の配水管工事の入札で、青谷工業(同町)社長の青谷武被告(83)から50万円を受け取り、同価格827万6千円(税抜き)を漏らして同社に同額で落札させたとされる。

 小泉被告は別の収賄事件1件でも起訴されている。次回公判は3月6日。

  ●無言で裁判所出る

 保釈中の小泉被告は紺色のスーツで出廷。一礼して弁護人の隣に座り、公判中は検察官が読み上げる文章を目で追っていた。

 冒頭、氏名や住所を確認する際、裁判官が自宅への地震の影響を尋ねると、小泉被告は「だいぶ被害はあった。水は来てないですけど、なんとか生活できます」と話した。閉廷後は無言で弁護人とともに車に乗り込み、裁判所を後にした。

 小泉被告は昨年10月30日に逮捕され、11月26日に町長を失職した。石川県内で現職首長の逮捕は1999年以来だった。

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