故郷離れ「少しでも良い生活を」 中学生送り出す親は不安と期待

集団避難のため、石川県輪島市から白山市の「県立白山青年の家」に到着した中学生ら=17日午後(代表撮影)

 250人を超える中学生が17日、能登半島地震で被災した故郷の石川県輪島市を離れ、共同生活をしながら学ぶことになった。送り出した保護者は「少しでも良い生活を」「1人にさせるのは不安」などと、期待と不安が複雑に入り交じった。

 生徒らは17日、輪島市や金沢市から、バスや自家用車で集団避難先の白山市へ。午後に施設に到着し、両手いっぱいの荷物に「めっちゃ重い」と漏らす生徒も。慣れない土地に緊張した様子の生徒もいたが、多くは明るい表情で友人と談笑しながら施設へ入った。

 輪島市に残る親の思いはさまざま。漁師の萬正俊介さん(39)は、少しでも良い生活をさせたいと市立輪島中3年の娘と1年の息子を送り出した。「仲良しの友達と一緒の方がいい。特に娘は中学最後の思い出づくりにもなれば」と期待する。

 同中3年の娘を見送った山下明美さん(53)は「離れた場所なので、また地震があったら1人にさせるのは不安」としながらも、「帰ってくるころには、もう少し住みやすい輪島にしたいな」と自分に言い聞かせるようにつぶやいた。

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