【連載コラム】第47回:レイズ・上沢の開幕ロースター入りの可能性は低くない? 40人枠に「実質空き3枠」

写真:昨季16勝を挙げたエフリン ©Getty Images

日本時間1月12日、レイズはポスティング制度によるメジャー移籍を目指していた上沢直之とマイナー契約を結んだことを発表しました。スプリング・トレーニングへの招待が付属しており、上沢はマイナー契約の招待選手としてメジャーのキャンプに参加し、若手選手や同じマイナー契約の選手たちと競争しながらメジャー昇格&開幕ロースター入りを目指すことになります。

上沢は球団の公式リリースのなかで「レイズの一員になれることに興奮しており、メジャーでのキャリアを開始する機会をいただけたことに感謝しています」とのコメントを発表。「レイズでプレーすることを決めたのは、レイズには投手育成の成功例の豊かな歴史があり、それにとても興味をそそられたからです」と移籍先としてレイズを選んだ理由にも言及しました。昨季もリリーフ右腕のザック・リテルを先発に転向させて成功を収め、途中加入のロバート・スティーブンソン(現在FA)の改造にも成功。そのレイズに加入すれば、ワンランクもツーランクも上の投手に成長できるかもしれない、という思惑が上沢にはあるのでしょう。

さて、日本時間1月17日にはAP通信が上沢の契約条件の詳細を報じました。契約ボーナスとして2万5000ドルが支払われることになっており、その結果、ポスティング制度の譲渡金として6250ドルが発生します。年俸については、メジャーにいる期間とマイナーにいる期間で金額が異なる「スプリット契約」となっており、メジャーでの年俸は250万ドル、マイナーでの年俸は22万5000ドル。なお、メジャーでの投球イニング数に応じて最大90万ドルの出来高を獲得できるようです(80イニング到達で10万ドル、そこから160イニングまで10イニングごとに10万ドルの出来高が発生)。よって、今季メジャーで160イニング以上投げた場合、上沢は340万ドルを手にすることができ、その金額に応じて追加で譲渡金が発生します。

では、上沢がメジャー昇格を果たす可能性はどれくらいあるのでしょうか。レイズはシェーン・マクラナハン、ドリュー・ラスムッセン、ジェフリー・スプリングスという主力3投手がいずれもヒジの手術を受けて長期離脱中です。また、エース格のタイラー・グラスノーをトレードでドジャースへ放出。そのため、現時点で予想される開幕ローテーションは、昨季リーグ最多タイの16勝を挙げたザック・エフリン、昨季途中加入して10試合に先発したアーロン・シバーリ、昨季途中に先発に転向したリテル、トレードでドジャースから加入したライアン・ペピオ、昨季メジャーデビューして5勝を挙げたタジ・ブラッドリーという顔ぶれになっています。

彼らに次ぐ先発要員は、トミー・ジョン手術のリハビリで昨季を全休したシェーン・バズ、ウエーバーで拾ったタイラー・アレクサンダー、昨季メジャーデビューして4試合に登板したジェイコブ・ロペスといった面々。開幕ローテーションの5人は決して盤石の布陣ではなく、先発の層も厚くないため、上沢には十分にチャンスがあると思われます。マクラナハン、ラスムッセン、スプリングスの3人は開幕から60日間の故障者リストに登録される可能性が高いため、実質的にロースターの40人枠が3つ空くのも開幕ロースター入りを目指す上沢にとって追い風となるでしょう。

データサイト「ファングラフス」は今季の上沢の成績を30試合(うち2先発)で2勝2敗、1ホールド、防御率4.31と予想。これを上回る成績を残すチャンスは十分にあるはずです。

文=MLB.jp 編集長 村田洋輔

© 株式会社SPOTV JAPAN