コロナのダメージを引きずるフィットネスジム、そのなかでも「女性だけ」のカーブスが好調なのはなぜ?

年末年始の帰省中、80歳手前の母が、連日「カーブス」に通っていました。カーブスは「女性だけの30分フィットネス」と明確なコンセプトを持つスポーツジムで、わたしの母はもうかれこれ10年近く通っています。さすがにコロナ中はお休みしていましたが、今は再開してふたたび日々の習慣となっているようです。

2024年の注目投資テーマとして、フィットネスジムを挙げている市場関係者がいました。リオープン銘柄としては、まず飲食、小売、エンタメなどが先陣を切りましたが、それらのセクターはやや一服し、ここからはフィットネスジムが追い上げてくるとの予想です。

たしかに、コロナ中に蓄えた脂肪をそろそろなんとかしたいとジム通いを再開する人は周りでもちらほら。かくいうわたしも、コロナ前に通っていたゴルフスクールを再開したばかり。身体を鍛えたい、運動したいモードの大人は確実に増えていますね。


好調な決算、その内容は?

カーブス(7085)に話しを戻すと、わたしの母のようにかなりの年配の方が通っていることに驚きます。当社が定義するヤング層は50~64歳、シニア層は65歳以上と、先日取り上げたチョコザップとはだいぶ会員のマス世代が違っています。

年齢層がすこし高めの女性に的を絞って、30分という短時間で無理のない運動ができるのが特長で、会員の継続率は97.7%! コーチもすべて女性のみで、気を使わなくてもよいことも高い継続率につながっているのかもしれません。

直近の決算を見てみましょう。

画像:カーブスホールディングス「2024 年8月期 第1四半期決算短信

1月10日に発表された2024年8月第1四半期の①売上高は7,544(百万円)、②前年比8.8%、③営業利益1,036(百万円)、④前年比63.9%、営業利益率は、⑤13.7%と前年同期の⑥9.1%から大きく改善されています。

画像:カーブスホールディングス「2024年8月期第1四半期 決算補足説明資料

会員数は、80.9万人と前年同期末からは2.1万人増加。コロナ前の83.2万人はまだ届いていないものの、このままの勢いだと今期中に到達するかもしれません。TVCMの集中投下により、ヤング層(50~64歳)の入会が増加したことに加え、シニア層(65歳以上)のにおいては、退会されていた人の再入会が増加したようです。まさにわたしの母ですね。おそらくこれくらいの年代の人にとっては、古巣に戻るほうが安心なのでしょう。母の話しによると、毎日同じ時間に行くと、顔見知りができて、そこでのおしゃべりも楽しみのひとつだとか。

大手と比べてかなり低い原価率

店舗のほとんどはフランチャイズで運営されており、売上はロイヤルティ収入と会員向けの物販収入がメイン。2023年12月に既存のプロテインを全面リニューアルした新プロテインとプロテインに次ぐ定期購入型新商品の販売開始しており、第2四半期では物販の売上にはずみがつくと期待されます。

じつはフィットネスジムは原価率が高いビジネスです。とくにプールやスタジオを備えた大型のジムでは賃貸料など固定費負担も高い上、水道光熱費なども高くなります。たとえば、総合型フィットネスジムを運営するセントラルスポーツ(4801)では、原価率88.5%、ルネサンス(2378)は92.7%。一方で、フランチャイズ経営で、なおかつこじんまりとした店舗が多いカーブスは原価率57.3%とかなり低くおさえられています。大型フィットネスジムがいまだコロナのダメージを引きずっている中、カーブスが頭ひとつ抜き出ている理由のひとつでしょう。

決算翌日、株価は上昇

画像:TradingViewより

決算発表が好調だったため、翌日の株価は9.7%上昇しました。ここまでずるずると下降トレンドが続いていましたが、好決算をきっかけにいっきに週足の移動平均線を抜けてきました。50歳以上の女性に完全にふりきる戦略は、ここのところ急成長している24時間ジムとの会員争奪戦はどこ吹く風。シニア層の人口が急増することを考えれば、ここからの株価は、上向き一択ではないでしょうか?

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

投資管理もマネーフォワード MEで完結!複数の証券口座から配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward]

© 株式会社マネーフォワード