「行政は『井戸水さえ飲まなければ大丈夫』と言い切ったが…」高濃度「PFAS」検出で地元が抱く疑問と不安 

静岡市清水区の化学工場周辺で発がん性が指摘される有機フッ素化合物「PFAS」が高濃度で検出されている問題。浄化装置の設置など対策は進めてられているものの、住民側は疑問や不安を抱えたままです。

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<坪内明美記者>
「化学工場のすぐ向かいにあるのが、ここ静岡市の上下水道局の三保雨水ポンプ場です」

雨水などをくみ上げて河川に戻す三保ポンプ場。静岡市は2023年12月、この施設の排水から国が定める基準値の220倍にあたる1万1000ナノグラムのPFAS濃度が検出されたと明らかにしました。

<坪内明美記者>
「近くで集めた雨水をこちらの浄化装置の中で、活性炭にPFASを吸着させて取り除き、また水路に戻しています」

化学工場の運営会社はPFAS対策として先月中旬から三保ポンプ場に活性炭を使った浄化装置を設置ました。

<静岡市 難波喬司市長>
「ろ過装置の効果を確かめているところですので、効果があれば設置基数を増やして対応していくことが必要かと思う」

しかし、ポンプ場では、1日1万トンに及ぶ大量の水が排出されるため、現時点ではPFASを中和させる効果は得られていません。

難波市長は、浄化装置だけでは十分ではないとしてポンプ場に流れ込む雨水管の補修なども必要だとしています。

<京都大学 小泉昭夫名誉教授>
「PFASの化合物は、ものすごく半減期が長い。体の中に入ったらなかなか出ていきません」

こうした中、1月13日、静岡市清水区では、PFASについての講演会が開かれました。環境汚染などに詳しい京都大学の小泉名誉教授は、PFASは体内に取り込まれると肝臓に蓄積され長い期間にわたって体内にとどまることなどを説明しました。

<市民>
「(市は)最終的に人体への影響といったところで、井戸水さえ飲まなければ大丈夫と言い切ったんですよ。その辺の調査に対しては一言も言わなかった。その辺は市議会でどんな運動をしていけばいいのかなって」

<京都大学 小泉昭夫名誉教授>
「水を飲まなければ大丈夫だというのは違って、体の中にどれだけ入っているのかが大事、血液検査が一番大事」

PFAS対策をめぐる市民の反応はー

<70代女性>
「国に基準を作ってもらうとか。やっぱり血液検査をしてもらうとか。会社や国に加わってやってもらいたいと思った」

<70代男性>
「汚染の物質が海に流れていく。そこで結構魚釣りをやっている人もいる。魚なんかでも、どんな影響を持っているのか行政がチェックをしていかないといけないのではないかなと」

難波市長は市民の安全を守りたいという姿勢を貫いています。

<静岡市 難波喬司市長>
「不安ですという方がいらっしゃると思うので、お気持ちに寄り添う形で調査を開始したいと思っています」

静岡市は、対策の強化とともに、工場周辺の井戸水を飲んでいる住民を対象に調査希望を受け付けていて不安の払しょくに取り組む方針です。

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