県が3年半の新型コロナ対応を冊子化 新たな感染症に備え、成果と課題を整理

新型コロナウイルス感染症への県の対応をまとめた冊子

 県は、新型コロナウイルスが感染症法上の位置づけで「5類」に移行したことを受け、保健医療体制の確保、感染拡大防止策といったこれまでの取り組みを冊子化した。市町村や専門家の意見を踏まえて成果と課題を整理し、新たな感染症の発生・流行への備えに役立てる。

 「新型コロナウイルス感染症への対応の記録~その時、山形県はいかに対応したか~」と題し、全6章で構成する。国内初の患者が確認された2020年1月から、新型コロナがインフルエンザと同じ5類移行となった23年5月までの県の対応を取り上げた。

 緊急事態宣言発出や独自の注意・警戒レベル設定、ワクチンの流通調整、「新しい生活様式」の浸透を図る啓発といった取り組みを、大規模流行の発生時期ごとに紹介した。対策本部運営▽感染拡大防止▽医療提供体制▽保健所業務―などの項目別に成果と課題を分析し、業務効率化や迅速な情報共有、感染拡大動向の把握などのため、デジタルトランスフォーメーション(DX)を一層推進する必要性を挙げた。

 新型コロナ対応の経験を生かし、平時から県と市町村、保健医療機関・団体の連携強化に努める大切さを強調。「感染症対策に関わる人材の確保と育成に向け、職員らの専門的知識の取得や危機管理意識醸成などに取り組み、対応力向上につなげる必要がある」と締めくくった。

 山形大医学部や県医師会の専門家の見解に加え、当時の担当職員、各地域の保健所、病院関係者のコメントなども掲載した。A4判123ページで300部を作り、市町村や関係団体に配布したほか、県のホームページでデータを公表している。

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