能登半島地震 行方不明者捜索に挑んだ長崎県警広域緊急援助隊が帰任 発見できずに「歯がゆさ」を感じる

行方不明者の捜索活動に当たる隊員=石川県珠洲市(県警提供)

 能登半島地震で石川県に派遣され、行方不明者の捜索に当たった長崎県警広域緊急援助隊の約30人が18日、長崎市に戻り、現地での活動を報告。降雪や道路の寸断に阻まれ、隊員の1人は「(がれきなどに埋もれている人を)早く出してあげたいと思っていたが、見つけられず歯がゆかった」と振り返った。
 災害対策専門の同隊は、9日にレスキュー車などの車両8台で出発。石川県珠洲市を拠点に11日から6日間、捜索活動に当たった。
 報告会で藤川和将分隊長(27)は、土砂崩れで建物が倒壊した現場を目の当たりにし「改めて自然の脅威を感じた」。チェーンソーやハンマーを使い、がれきの山を押しのけながらの捜索。担当した場所は、山頂付近から崩れた土砂が無数の家をのみ込み、押しつぶしていた。余震も続き、いつ二次災害が起こってもおかしくない状況。「崩れたら死ぬ」と覚悟した。
 中田基中隊長(39)によると、現場では住民も自ら重機を使って捜索。住民の絆の強さを感じ「少しでも早く見つけてあげたい」との思いを強くしたという。ただ雪の影響で3日間は車両1台しか現場に行けず、隊員の大半は沿岸での捜索など別の任務に従事。疲労が蓄積する中、ボランティアによる炊き出しで振る舞われた温かい豚汁が「活力になった」。
 期間中、行方不明者の発見には至らなかった。藤川分隊長は悔しさをにじませながらも「不明者がいない範囲をつぶせたのも一つの成果。次の出動に備えたい」と話した。

帰任を報告する伊賀輝希隊長(中央)=長崎市、機動隊隊庭

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