九州電力・池辺和弘社長 「松浦発電所」継続に意欲 電力需要増念頭 低炭素化を推進【インタビュー】

将来の電力需要増に備え、松浦発電所の運用継続に意欲を見せる池辺社長=福岡市、九州電力本店

 九州電力の池辺和弘社長は長崎新聞の新年インタビューで、今後の電力需要について、情報通信産業の拡大や電化推進によって「2040年、50年になれば、どっと増えるのではないか」との見方を示した。それを踏まえ、石炭火力の松浦発電所1号機(70万キロワット、松浦市)については「戦力だ」と強調。低炭素化を図りながら運用を続ける考えを明らかにした。
 松浦発電所2号機(100万キロワット、同)は昨年、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しないアンモニアを石炭に混ぜて燃やす試験を混焼率約0.1%で実施。池辺氏は「設備面も環境面も問題なかった」と評価した。その上で「石炭火力で30年までに20%混焼する技術の確立」という目標に向け、アンモニアの調達や貯蔵の方法を検討課題に挙げた。
 2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする政府目標を背景に、老朽化した豊前発電所2号機(石油火力、50万キロワット、福岡県)に続き、苅田発電所新1号機(石炭火力、36万キロワット、同)も7月に計画停止を予定。運転開始から30年以上たつ松浦1号機が「生き残るため」には、アンモニア混焼または(CO2を回収し地下に貯留する)CCSのどちらかが欠かせず、技術の進展を見極めるという。
 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡っては昨年、対馬市長が文献調査を受け入れないと表明した。一方、国は電気事業者やNUMO(原子力発電環境整備機構)とともに全国100以上の自治体を訪問する方針。池辺氏は「これを進めていけば、地元の将来に関する議論がいろんな所で始まっていくと思う。その中で手を挙げてくれる所が出てくるんじゃないかと期待している」と述べた。
 19年4月に廃止した佐世保市の相浦発電所の跡地活用については「進んでいない」とした。

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