長崎県内企業、生成AI利用に踏み込むもルール未設定は7割   長崎新聞・経済研究所のアンケートで明らかに

ChatGPTを使う人=長崎市内

 長崎新聞社と十八親和銀行系シンクタンク長崎経済研究所(長崎市)が長崎県内主要企業・団体に実施したトップアンケートで、文章や画像を作成する生成人工知能(AI)の業務での活用状況について聞くと、回答した企業の約7割が、使用のルールを設けていなかった。業務効率化に期待する声の一方、情報漏えいなどの懸念があり、本格活用はまだ途上と言えそうだ。
 生成AIは、インターネット上の大量のデータを学習し、利用者の指示に応じた文章や画像、音声を作る。2022年11月に一般公開された対話型AI「チャットGPT」は急速に利用者を増やし注目された。企業や自治体で、情報処理や文書作成などの業務利用を検討する一方、個人情報流出や著作権侵害のリスクも指摘されている。
 回答した103社のうち「使用に関して特に取り決めなどはない」としたのは最多の70社だった。幅広い業種で人手不足が課題となる中で「帳票や文書の作成などの定型業務に有効と考えるが、リスクやデメリットの判断材料がまだ十分でない」(運輸業)、「効率向上と創造性拡大に寄与すると期待している。一方で機密保持などの観点で留意する必要もある」(経済団体)など、活用に前向きながら、リスクを見極めようとする姿勢が目立った。
 「活用を認めている」とする企業は21社。「運用ポリシーを設定の上、リスクヘッジをしながら活用している」(食品製造業)、「入力した情報が社外で利用されないようにデータ保護機能を備えたソフトを選定している」(製造業)など、運用のルールや仕組みを整えた上で活用する企業が多い。
 「使用を禁止している」とする企業は5社。「(AIに)入力した情報を学習し、他者の回答に使用される懸念がぬぐい切れない」(信用保証業)、「情報の質が求められるため、扱う情報の精査・判断をAIに委ねることは時期尚早」(卸売業)など情報漏えいリスクを指摘する意見が挙がった。

長崎県内企業に聞いた生成AIの活用状況

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