雲仙・小浜町の元旅館を“再生” 地元の若者が交流拠点 21日プレオープン 長崎

大正時代に使われていたという旅館のドアを支える元村さん(左)と佐藤さん=雲仙市、ととのい処 ゑびすや

 「生まれ育った小浜の建物を守りたい」-。長崎県雲仙市小浜町の元村龍馬さん(30)は小浜温泉街の元旅館を買い取り、地域住民らの食や交流の拠点施設に“再生”させた。同級生らの協力を得て、21日、プレオープンする。

1970年代の旅館「恵比須屋」(佐藤さん提供)

 旅館は温泉街の中心部にあった「恵比須屋」。女将(おかみ)の体調不良のため、2017年、のれんを下ろした。元村さんは昨年5月、旅館の土地と築約70年の建物を購入。昔の温泉街は観光客のげたの音が響き、行き交う人の肩がぶつかるほど人通りが多かったという。
 「その景色を再現し、大好きな小浜をにぎわいの場にしたい」。そんな元村さんの構想を聞いた市立小浜中の同級生ら6人が、デザインや塗装、電気工事などの改修を手伝った。利活用の発案や内装デザインを担当した馬場宗一さん(29)=同町=は「周りの旅館と共存できるようにしたい」と話す。
 元村さんの本業は理学療法士で鍼灸(しんきゅう)師。心身をリラックスしてほしいという願いを込めて、施設名は「ととのい処(どころ) ゑびすや」に決めた。女将だった佐藤曉子さん(74)は「建物も名前も残してくれてうれしい。(元村さんは)跡取りのよう」と喜ぶ。
 鉄筋・木造混構造で地下1階、地上3階建て。延べ面積約760平方メートル。観光客や地域住民が交流できるよう、1階を貸しキッチンやコワーキングスペースにリニューアル。客室だった15部屋には、リンパマッサージや足ツボなどの事業者が出店。1階や各部屋は起業を目指す人に1日単位で貸し出す。館内にある温泉浴場の活用も計画中。
 21日のプレオープンではハマチの解体ショーがあり、すしやコーヒーなどを無料でふるまう。開業は22日。問い合わせは同施設(電0957.61.1701、午前10時~午後5時。木曜定休)。

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