地震が起きたら幼い子どもをどう守る…専門家がアドバイス 避難は抱っこひもで、防災バッグの備えを

地震後、自宅の本棚や家具を固定したという山崎彩夏さん=福井県あわら市内
「子どもを落ち着かせることが大切」と話す飛田幸平さん=福井県福井市の第一防災
いざというときのため、おむつやウエットティッシュ、乳幼児も食べられる非常食などを準備しておきたい
避難のために備えたい赤ちゃん用品

 石川県を襲った能登半島地震では、福井県内でも嶺北を中心に大きな揺れを感じた。いざ地震が起きたとき、赤ちゃんや小さな子どもがいるパパやママはどのような行動を取ればよいのだろう。日頃から備えておくものは―。福井県防災士会理事の飛田幸平(ひだ・こうへい)さん(67)にアドバイスしてもらった。

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▽けがをしない

 「地震が起きたとき、まずは子どもと自分の身の安全を守る。テーブルの下などへ一緒に入り、上から覆いかぶさるようにして子どもをおなかの下に抱える。いったん揺れが収まり家から出て避難するときに、家の中の割れたガラスや食器などで足をけがしないよう、親が玄関に行き靴を持ってきて子どもに履かせてから外に出る。赤ちゃんは、親の両手が自由になるよう抱っこひもなどで抱えて避難するのがベスト」

 こう語るのは福井県緊急消防援助隊員として阪神大震災や東日本大震災の現地で活動した経験を持つ飛田さん。現在は防災用品を販売する第一防災(福井市)の専務取締役を務め、保育園や小学校で防災をテーマに講演を行っている。

 「身の安全を守り、けがをしないことが大事。避難時にけがをすると、体の動作が制限されたり体力も消耗する」と飛田さん。家を後にするときの注意点として「火災を防ぐために、余裕があるなら火元の確認やブレーカーを切ってほしい」と指摘する。

▽おもちゃも用意

 小さな子どものいる家庭では、日ごろからの地震への備えはどうしたらよいだろうか。

 飛田さんは、簡単な地震対策として、家具の固定や市販の防災バッグを準備することを推奨する。赤ちゃんのいる家庭は、3日分の▽おむつ▽粉ミルク▽おかゆなどの離乳食▽お尻がかぶれるといけないのでお尻拭き―などをいつでも持ち出せるようまとめておくと安心。お湯を沸かすのにアウトドア向けのカセットコンロもあると便利という。

 「子どもを落ち着かせるために、おもちゃも用意しておくとよい」と話す。

 また、昭和56(1981)年5月以前に旧耐震基準で建てられた家については「耐震診断をして補強してほしい」と呼び掛ける。

▽キャンプで練習

 山崎彩夏さん(31)=福井県あわら市=は、地震が発生した1月1日は1歳の長女と同県越前市の実家に帰省中だった。

 あわら市は当時震度5強を観測。「自宅に戻ったら2階の本棚が倒れていた。家にいたらと思うと怖かった。すぐに家中の家具を固定した」と山崎さん。今後は防災バッグや、離乳食などの子ども用品を準備していく考えだ。「万が一のときのために、抱っこひもで素早く子どもを抱きかかえられるように練習したい」と気を引き締めていた。

 飛田さんによると、避難生活ではキャンプの知識や道具が役に立つという。「キャンプで携帯トイレを使ったり、火を起こしてお湯を沸かしたりする生活を体験することで、災害時に生き抜く力になる」

 また、「自治体の訓練に親子で参加し実際に避難して、備蓄倉庫に何があって何がないのかを確認してほしい」と飛田さん。「妊婦さんや産後のママ、乳幼児は災害時には『要配慮者』になるので、周りの理解が必要。本人も助けが必要なときは我慢しないで声をあげてほしい」と話している。

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