ためらい背中押され出席 歌会始にかほくの宮村さん

天皇陛下から震災についてお言葉を掛けられた宮村さん

  ●石川34年ぶり入選

  ■花散里が一番好きと笑みし友和服の似合ふ母となりぬる

 石川県内から34年ぶりの入選者となった宮村さんは能登半島地震を受け、一時は歌会始への出席を迷ったという。それでも、上司らに「こういう時期だからこそ行って、石川の話をしてきてほしい」「少しでも明るい話題を」と背中を押された。両陛下の前で自身の歌が披露され「光栄という気持ちでいっぱい」と話した。

 「花散里が 一番好きと 笑みし友 和服の似合ふ 母となりぬる」

 信州大時代に源氏物語研究のゼミに参加していた宮村さん。物語の登場人物である「花散里」が好きだと話していた友人が母となり、時の流れを懐かしく思うとともに、友人と花散里を重ね合わせた思いを詠んだ。陛下から「源氏物語の登場人物で誰が好きですか」と聞かれると、「葵の上です」と答えた。

 地震に関しては、天皇、皇后両陛下から「大変でしたね」と声を掛けられた。かほく市内にある自宅アパートや実家は大きな被害はなかったが、「同じ市内でも避難所にいらっしゃる人もいて、奥能登はさらに厳しい生活をされている人がいる」と伝えた。

 市職員であることから、皇后さまは「避難所の支援は何かされていたのですか」と質問され、宮村さんは給水パックを作ったことを説明。「これを励みに、今自分のできることをやりたい」と被災地への思いを口にした。

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