富山県、キャニオンルートの旅行商品発売延期 地震で黒部峡谷鉄道の鉄橋損傷

 富山県は、29日に予定していた黒部宇奈月キャニオンルートの旅行商品の発売を延期する。能登半島地震の影響で黒部峡谷鉄道に落石被害があり、全線開通時期が不透明になっているため。6月30日の一般開放は現時点では予定通り行う方針。

 県が19日、発表した。県観光振興室は「黒部峡谷鉄道の全線開通時期が発表された後、速やかに販売を開始する」としている。一般開放については、黒部峡谷鉄道の全線開通時期に応じて延期の有無を判断する。

 同鉄道のトロッコ電車は宇奈月駅から終点・欅平駅までの20.1キロを運行する。欅平駅は黒部宇奈月キャニオンルートの起点となっている。

 能登半島地震で、欅平駅の一つ手前の鐘釣駅近くにある鐘釣橋に落石があった。橋桁の鉄骨が曲がり、枕木の一部が抜け落ちた。復旧作業は雪解け後の春を待ってからとなり、例年5月のトロッコ電車の全線開通が遅れる可能性もある。

 キャニオンルートは欅平駅と黒部ダムを結ぶ約18キロの物資輸送路で、上部専用鉄道やインクラインなどを乗り継ぎ、雄大な自然景観を体験できる。旅行商品は1泊2日の基本コースを基に、旅行会社がツアーを造成している。

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