著名人による随筆や京都御苑内の自然観察記で市民を楽しませた季刊誌「京都御苑ニュース」が、昨年12月に158号で休刊した。発行する一般社団法人「国民公園協会京都御苑」(京都市上京区)が新型コロナウイルス禍で財政難に陥り、経費節減のため決めた。
1984年創刊のニュースは、B4判4ページで2万部を発行。御苑内に配架し、周辺の宿泊施設や観光施設などにも置いてきた。
巻頭の随筆は、解剖学者の養老孟司さんや宗教学者の山折哲雄さんらが「人工と自然、手入れのこと」「宴の松原-空き地の大切さ」など多様なテーマで執筆してきた。京都自然観察学習会メンバーによる動植物の写真と観察記も人気を呼んだ。
国民公園協会京都御苑は、国有財産である御苑内の駐車場や休憩所、グラウンドを年間数千万円で借りて運営し、収益を上げてきた。だがコロナ禍で来場者が激減し、赤字が膨らんだという。
御苑の来場者数は回復しつつあり、昨夏に発行部数を半減させて経費を抑えたものの、借り入れが1億円を超え、延滞金もかさむために休止を決めた。
池田善一支部長は「今の時代に合わせた情報発信を模索し、いずれ新たな形で愛読者の皆さんに再会したい」と話す。御苑内の自然やイベント情報は、インスタグラムのアカウント「京都御苑 広報」で発信を続ける。