ノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ女子蔵王大会が19日、山形市のアリオンテック蔵王シャンツェ(市蔵王ジャンプ台)で開幕し、世界屈指のジャンパーが蔵王の夜空にアーチをかけた。
初日はノーマルヒル個人第11戦(ヒルサイズ=HS102メートル)の本戦が行われ、日本勢は伊藤有希(土屋ホーム)が2回目に最長不倒となる101.5メートルをマークし、合計223.1点で準優勝した。本県にゆかりのある高梨沙羅(クラレ)は合計204.2点で11位だった。優勝は2回とも90メートル後半でまとめて合計235.2点だったW杯ランキングトップのニカ・プレブツ(スロベニア)。前日の予選を通過した40人で争った。
最高峰の舞台で戦う選手を見ようと、県内外から約900人が会場に駆け付けた。日本選手が大ジャンプを決めると、ひときわ大きな拍手と歓声が送られた。
20日はノーマルヒルスーパー団体戦、21日は同個人第12戦が行われる。
大飛躍に蔵王沸く、900人観戦「力もらった」 ノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ女子蔵王大会が19日、3日間の熱戦の幕を開けた。山形市のアリオンテック蔵王シャンツェ(市蔵王ジャンプ台)を舞台に、本県にゆかりのある高梨沙羅選手(クラレ)ら世界のトップジャンパーが集結。K点超えの大飛躍が出るたびに、約900人の観客が沸き上がった。
高梨選手の母方の祖父の出身地・米沢市窪田地区の住民でつくる「応援する会」(石川正義会長)は、高梨選手のバッケンレコード(106メートル)付近にのぼりを掲げた。2回目に高梨選手が飛距離を伸ばすと大にぎわい。副会長の大竹勝美さん(79)=同市中田町=は高梨選手から「いいパフォーマンスをお見せしたい」との年賀状をもらったといい「宣言通りのいいジャンプ。(21日の)最終日まで熱い応援を送りたい」と鼻息を荒くした。
同市から訪れた会社員高橋由佳さん(41)宙仁(ひろと)ちゃん(3)親子は、国道13号沿いの道の駅「やまがた蔵王」(山形市)に自家用車を止め、今回導入されたシャトルバスで会場入りした。高橋さんは「暖冬で雪が少ないとはいえ、蔵王まで運転するのは怖い。初めて観戦したが、子どもも楽しそう」と宙仁ちゃんと目を合わせた。
通算2勝を挙げ、「パワースポット」という蔵王で日本勢唯一の表彰台に上がった伊藤有希選手(土屋ホーム)は、表彰式で「皆さんからパワーをもらった」と手を振った。伊藤選手の名前があしらわれた横断幕を掲げ、手を振り返した千葉県市原市の中村博幸さん(60)和枝さん(59)夫妻は「私たちの方が力をもらった。能登半島地震の被災者にも元気を届けるジャンプだったと思う」とたたえた。