子どもの永遠のテーマ、「野菜嫌い」救うジャム イタリア料理店シェフが考案、主婦からの評判も良好

「酸味と甘みのバランスを味わってほしい」と野菜のかけジャムを手にする鈴木実さん=越谷市東越谷

 いつの時代でも変わらない子どもたち永遠のテーマ「野菜嫌い」。「野菜はおいしい。体が健康になるよ」と呼びかけるのは、越谷市東越谷のイタリア料理店「カポナータ」オーナーシェフ鈴木実さん(58)。約40年のシェフ経験を生かし、野菜のうま味と甘さがブレンドする「野菜のかけジャム」を考案した。

 東京都北区生まれ、足立区育ち。母親の提案で料理人の道を志し、専門学校卒業後、都内のホテルなどで修業した。21歳から越谷に住み、35歳で独立、店を東越谷に構えた。

 新鮮な地場野菜を売りにしたイタリア料理専門店で、地元主婦が通った。そんな主婦から毎回相談されるのが、子どもの野菜嫌い。鈴木さんは子ども共通の体質や野菜の成分を自分なりに研究し「野菜のえぐみを減らして甘くすれば、子どもたちに受け入れてもらえるのでは」とジャム開発に取りかかった。

 野菜ブイヨンをミキサーにかけ、砂糖などを加えてジャム状になるまで煮込む。営業時間の合間に試作を100回以上重ね、約3年間かけ2022年秋に完成させた。

 シェフ目線で「特に食べてほしい」とニンジン、玉ネギ、パプリカ、ブロッコリー、トマト、カボチャの野菜6種を選択。野菜の味を全く消さず、ほのかに残す点に苦労した。

 ジャムはトーストに塗るほかシリアルに加えたり、ハンバーグソースでも活用できる。現在月100本ペースで売れ、主婦からの評判も良いという。

 鈴木さんは「ジャムをきっかけに野菜嫌いを克服してほしい。そしてSDGsなど社会問題にも目を向けてもらえたら」と話している。

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