谷川氏略式起訴

 あの“取材対応”の映像が繰り返し流れていた頃、ネットニュースのコメント欄にはこんな言葉があふれていた。〈なぜ、こんな人を選ぶの〉〈長崎県、意識低すぎ〉〈見識を疑う〉▲彼のことを擁護する筋合いもそのつもりもないが、反論がないわけではない。お金集めに熱心で、短気で怒りっぽくてすぐキレるから議員に選んだわけではない。努力家で、勉強熱心な郷土愛の人でもあるのだ。だが、それもこれも台無しである▲自民党派閥のパーティー券裏金問題は政治資金規正法違反事件に発展、同法違反の罪で谷川弥一衆院議員=長崎3区=と秘書が略式起訴された。東京地検特捜部の捜査はひとまず幕引きとみられる▲谷川氏は既に「立件されれば議員を辞職する」との意向を明かしている。公民権の停止によって失職する前に自ら職を辞するのは、彼なりの潔さなのだろうか、とも考えたが▲有権者の信頼を裏切る法律違反を理由に、職責を果たせず任期の途中で国会を去るはめになったのだ。そこもきちんと詫(わ)びてもらわねばならない。議席はあなたの私物ではない▲捜査中の今はしゃべれない、と取材に語っていた。捜査は終わった。全てを話してもらわねばならない。先に念押ししておく。もう公人ではない、国会議員は辞めたのだ-は通らない。(智)

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