レーニン没後100年

 ロシア革命を指導し、世界初の社会主義国家ソビエトを打ち立てたウラジミール・レーニンは、ちょうど100年前の1924年1月21日に死去した▲レーニンは革命に当たり、全ての土地を人民の財産にして生産物を均等に分配することや、無併合・無賠償・民族自決の立場で第1次世界大戦を終わらせることを掲げた▲格差のない平等で平和な社会-。それこそがレーニンの追い求めた理想だろう。だが、どんなに崇高な理想も暴力が伴えば地に落ちる▲反革命と見なされた人たちは非道な「赤色テロ」の対象とされ、膨大な命が奪われた。その苛烈さは「人間は容赦なく頭をたたいてやらねばならない」というレーニンの言葉に象徴される▲理想に対するレーニンのひた向きさは「狂信」と表裏一体だったように思える。ソ連崩壊後、至る所にあったレーニン像は次々に壊された。「20世紀共産主義運動の父」は文字通り「落ちた偶像」と化した▲暴力を容認するレーニンの手法は、後に続くスターリンや今のプーチン大統領に引き継がれたと言っていい。「ロシアの歴史的版図の回復」という危険思想を狂信するプーチン氏は、核で脅しながら隣国を侵略することもいとわない。レーニンと同じように、いつか歴史の女神から手厳しい審判を受けるだろう。(潤)

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