雨にも負けず、天焦がす祈り 正月飾りで作った小屋に火、災難よけを祈願 小鹿野で「ドウロク神焼き」

正月飾りで組み立てた小屋に点火する橋詰地区の住民=20日午後5時ごろ、埼玉県小鹿野町河原沢

 埼玉県小鹿野町河原沢の橋詰地区の河原で20日、火祭り行事「橋詰のドウロク神焼き」(県指定無形民俗文化財)が行われた。冷たい雨が降りしきる中、正月飾りで組み立てた小屋が勢いよく燃え上がった。住民らは、寒空に赤々と照らす炎を見つめながら災難よけを祈願した。

 ドウロク神は、道路の悪霊を防いで行き交う人々を守る。地域住民が河原にヒノキや竹を組み、高さ約8メートルの三角すいの小屋を制作。松飾りやだるまなどと共に、近所のドウロク神峠に祭られている二つの自然石(御神体)を小屋の中に納め、一緒に燃やして厄をはらった。

 橋詰地区はこの日、朝からみぞれ交じりの雨が降り続いた。午後5時ごろに点火が始まると、炎が天高く舞い上がり、「パンパン」という大きな音が渓谷中に響き渡った。

 保存会会長の黒沢孝二さん(70)は「地区内は13軒だけだが、数百年と続く伝統を雨でも雪でも毎年絶やさず行っている。今後も協力しながら伝統を守っていく」と話していた。

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