熱さ耐え「豆腐焼き」 鶴岡・黒川能「王祇祭」向け

王祇祭に向けて豆腐を焼く住民たち=鶴岡市黒川

 国指定重要無形民俗文化財・黒川能の祭典「王祇祭(おうぎさい)」(2月1、2日)で来場者に振る舞う凍(し)み豆腐の仕込み作業「豆腐焼き」が20日、鶴岡市黒川地区で始まった。地域住民がいろりを囲み、次々と豆腐を焼き上げている。

 王祇祭は地区の鎮守・春日神社からご神体の王祇様を上座と下座のそれぞれの当屋に移し、能と狂言を夜通し上演する。豆腐焼きは新型コロナウイルスの影響で中止していたが、今年は4年ぶりに下座の当屋・遠藤重嗣さん(75)方で行った。

 20日は遠藤さん方の小屋に約20人が集まった。豆腐を長さ15センチ、幅と奥行き3センチにカット。木製の串に刺していろりの周りに並べてあぶった。熱さを避けるため、段ボールを顔の前にかざして作業する姿も。対面の人に「焼けてる。裏返して」などと声をかけ合い、各面をじっくりと焼き上げていた。21日も作業し、約5千本を仕上げるという。

 王祇祭は、凍み豆腐を振る舞うことから「豆腐祭り」とも呼ばれている。

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