かまぼこ専門店オープン、魚を気軽に 南陽・赤湯の老舗「おかず、つまみにも」

「魚を身近に感じてほしい」と話す皆川拓海社長=南陽市赤湯

 南陽市の赤湯温泉街にある創業170年の金田屋魚店が、魚をより手軽に食べてもらおうと、店舗向かいに金田屋蒲鉾(かまぼこ)店をオープンさせた。8代目の皆川拓海社長(33)が昨年秋に会社を継ぎ、時代のニーズを捉えた店舗展開を繰り広げている。

 金田屋魚店は小売りのほか、地元旅館や飲食店への魚の提供、店舗内宴会場で料理を振る舞っている。かまぼこや、すり身に山芋を練り合わせた「しんじょう」を宴会、法要での利用客などに提供していたが、新型コロナウイルス禍を機に新しいことに挑戦しようとかまぼこ専門店を3年ほど前から検討し始めた。料亭で日本料理の経験がある皆川社長は、魚離れや食の洋風化が進む中で「おかずの一品やおつまみになり、温泉街の土産にもなるようなものを販売したかった」と経緯を語る。滝川蒲鉾(鶴岡市)に月1回のペースで2年間通い、作り方を学び直した。

 スケトウダラを石臼ですり身にしていくが、その日の気温などで水分量を見極めるきめ細やかさが求められるという。保存料や着色料など添加物を使わないというこだわりもある。商品は揚げかまぼこ、蒸しかまぼこがそれぞれ2枚入りで300円台、すり身に山芋を混ぜ合わせた特製しんじょうは1本864円、かまカツ、揚げかま棒は200円台など。

 空き店舗を改装し、設備費や工事費は計約3千万円。国の事業再構築補助金を活用した。年末はお歳暮の注文も多く、皆川社長は「気軽に食べてもらえるよう、地域に根差した店づくりをしていきたい」としている。

赤湯温泉街にオープンした金田屋蒲鉾店

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