メダカ飼育、夢中になれた 米沢の清水さん兄弟、感謝胸に小学校などへ寄贈

小学校にメダカと水槽を贈る(左から)清水悠生さんと康平さん=米沢市・東部小

 米沢工業高定時制4年で双子の兄清水悠生さん(18)、弟康平さん(18)は、約4年間大切に育ててきたメダカ3千匹以上を小学校などに贈っている。2人は中学時代に別室登校だったが、メダカの飼育をきっかけに前向きになり、多くの仲間ができたという。「夢中になれるものと出合い、変わることができた」と感謝の気持ちでいっぱいだ。

 緑、オレンジ、シルバー、キラキラと輝く背中のラメ―。兄弟が飼育するのは、さまざまな種類を掛け合わせて繁殖させる改良メダカだ。小さな体に多様な色をたたえた姿が人気で、多くの愛好家がいる。

 中学時代は周囲になじめず、教室に通えなかったという2人。環境の変化を求め、同校に進学した。1年時にアクアリウムを始め、「メダカの魅力にどっぷりはまった」と口をそろえる。課題研究の一環で飼育容器も手作りした。「先生たちが手助けし、親身に話を聞いてくれた」と振り返る。

 当初4品種50匹ほどだったが、繁殖で30品種3千匹以上に増えた。飼育費用はアルバイトで賄った。「アクアリウムがなかったら毎日携帯ばかりいじっていたと思う」と悠生さん。康平さんは、悩みがあっても「ぼーっと眺めると穏やかな気持ちになり、また頑張ろうと思えた」と話す。

 昨年の学園祭では「メダカすくい」や販売ブースを設けて好評だった。同じ趣味を持つ、全国の仲間たちとの交友にも発展した。

 卒業後、悠生さんは板前になるため東京のすし店に住み込みで働く。康平さんは西置賜ふるさと森林組合(飯豊町)に勤務する。大量のメダカを飼い続けられないため、小学校や希望する友人などに贈ることを決めた。昨年12月には米沢市の東部小を訪れ、改良メダカ50匹と水槽を寄贈した。「かわいい」と喜ぶ児童たちに笑顔を見せていた。

 苦しかった中学時代の自分たちから、変わるきっかけをメダカがくれた。「別れは悲しいけど、大事に育ててもらえたらうれしい」。感謝の気持ちを胸に新たな道に歩み出す。

2人が育てた改良メダカ

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