〈1.1大震災〉氷見の断水が完全復旧 市全域で飲用可能に

断水の完全復旧を喜ぶスタッフ=氷見市熊無の直売所

  ●発災3週間、県内全面解消

 能登半島地震の影響で大規模な断水が発生していた氷見市で21日、市全域の水道が飲用可能となり、完全復旧した。通水したものの、飲み水には使えなかった6地区470世帯で水質の安全性が確認できた。1日の発災時に一時約1万4千世帯で起きた同市の断水は20日ぶりに全面解消。地震発生から3週間となる22日を前に、富山県内の断水はひとまず収束した。

 氷見市は18日、全域で通水が復活し、断水状態が解消したと発表。ただ、トイレや洗濯には使えるものの、飲用には使えない「通水世帯」が約700世帯残っていた。水質の検査が完了した地区から順次復旧を発表。21日には最後に残されていた県境周辺の論田、熊無、姿、中田、中波、脇の6地区でも復旧した。

 断水は解消されたものの、市内各地では各世帯の敷地内にある水道管が損傷して水が漏れる「宅内漏水」がみられる。市は水圧が弱くなる場合があるとして、引き続き市民に節水を呼び掛けている。市は21日、市内5カ所に設けた給水所を正午に閉所したが、宅内漏水などで水が必要な人にペットボトルの飲料水を配布し、給水所1カ所を新たに設置した。

 県境の氷見市熊無で、住民が運営する直売所「お休み処くまなし」では、待ちに待った断水の復旧を喜ぶ声が聞かれた。

 店では地震後、早期に通水したが、飲用には使えないためコーヒーなどの提供ができず、1日1時間のみの営業だった。ようやく通常営業に戻る見通しが立ち、スタッフの中山早栄さん(60)は「やっと日常に戻る。また早く店がにぎわってほしい」と期待した。

  ●避難者37人に

 富山県は21日、能登半島地震による県内の被害状況を公表し、午後1時時点で避難所は氷見、高岡市でそれぞれ2カ所開設しており、避難者は計37人で前日の36人から1人増えた。住宅被害は全壊23件、半壊97件、一部破損3220件など計4239件、人的被害は重傷3人と軽傷44人の計47人で前日と変わらなかった。

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