都道府県対抗男子駅伝 長崎は健闘12位 1区川原(五島南高)は区間新記録!

第1中継所、長崎の1区川原(五島南高、右)が区間新の快走で2区百田(西諫早中)へリレー=広島市

 第29回全国都道府県対抗男子駅伝大会は21日、広島市平和記念公園前発着の7区間48キロのコースで行われ、長崎は2時間21分12秒の12位でゴールした。長野が大会新となる2時間17分0秒で、コロナ禍の影響で中止となった2年を挟んで3大会連続10度目の優勝を飾った。
 長崎は1区川原琉人(五島南高)が区間記録を8秒更新する19分31秒で首位発進。2区百田好希(西諫早中)は1位と同タイムの2位、3区林田洋翔(三菱重工)は3位でたすきをつないだ。以降は順位を落としながらも10位前後でレースを進め、最後は最長13キロの7区を花尾恭輔(駒大)が区間16位で走り抜いた。
 長野は4位でたすきを受けた4区永原颯麿(佐久長聖高)が区間1位の走りで先頭に出ると、5区山口竣平(同)も区間賞で続いて差を広げた。7区鈴木芽吹(駒大)も区間記録を塗り替え、独走でゴールした。埼玉が3大会連続表彰台となる2位、千葉が過去最高タイの3位に入った。

◎1区川原 早めスパート、長崎県勢初の快挙

 有言実行の区間賞に、区間新のうれしいおまけが付いてきた。昨年、1区を3位で走った川原(五島南高)が、今年は第1中継所に一番乗りした。1区区間賞は長崎県勢初の快挙だ。「タイムより順位を重視した。この1年間、残り1キロに重点を置いてきたのが生きた」。プラン通りのレース運びだった。
 昨年は終盤に離されて、長嶋(兵庫・当時西脇工高)に8秒差で区間賞を譲った。その反省を生かし、今年は中間地点でいったん集団に下がって体力を温存。「ラストに強い選手は他にもいるから」と残り1.6キロ付近から早めにスパートをかけて差を広げた。7キロを19分31秒。長嶋が昨年樹立した区間記録を8秒更新した。
 松浦高1年時に都大路を走ったが、高校2年時に駅伝チームがない地元の五島南高に編入。以来、応援してくれる島民から遠征費の支援を受けながら、陸上経験がある祖父・高弘さん(71)に師事して競技を続けてきた。家の近くにある農道を一人黙々と走る日々を経て、周囲に左右されず自分のペースを貫く走りを習得。昨年11月には5000メートルで13分52秒29の県高校記録を樹立し、手応えを得ていた。
 春からは順大で箱根駅伝を目指す日々が始まる。身長165センチと小柄ながら、力強い走りは山上りの5区への適性も感じさせる。高校最後に歴史を刻んだ18歳は「五島の名前をたくさんテレビに出せて、少しは恩返しできたかなと思う。満足せずに強いランナーになって、箱根の5区を走りたい」と眼鏡の奥で瞳を輝かせていた。

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