手作り文芸誌を毎月発行 竹浪和夫さん(青森・むつ市)「地域の文学の発火点に」

竹浪さんが毎月発行している寧日文藝

 青森県むつ市の元小学校教諭竹浪和夫さん(77)が、毎月1回のペースで手作りの文芸誌「寧日文藝(ねいじつぶんげい)」を発行している。自身が書いた歴史小説や評論、エッセーなど多彩な内容で今月、第10号を迎えた。竹浪さんは「地域の文学の小さな発火点になりたい」と語る。

 10代から文芸同人誌の発行に携わっていた竹浪さんは同市の「下北文化社」の一員として約50年間、同人誌「下北文化」を編集してきた。しかし、2021年5月発行の第55号を最後に終刊となり「自分のとりでを失った」という。

 文芸誌や地域誌に自身の作品を掲載する機会はあったものの、生涯、文芸の道につながっているための「自分の場所」として文芸誌の発行を決意。23年4月、第1号を完成させた。題名は、喜寿を超えての日々が無事で平和な日であるようにとの思いを込め「寧日」と付けた。

 A4判、6ページからなる寧日文藝に掲載する作品はほぼ竹浪さんが書いたもので、時折知人の協力を得ている。編集も、パソコンの新聞製作ソフトを使い一人で仕上げる。毎月の発行部数は20部前後で、同人誌仲間やかつての同僚らに無料で届けているほか、子ども向けの内容を掲載した際は市内の小中学校にも送付するという。

 月刊のペースを維持し、第20号を発行することが「取りあえずの目標」という竹浪さん。「若い世代に読んでもらい、地域の歴史や文学の歩みを知る手伝いになれれば」と願う。

 販売はしておらず、読みたい場合は竹浪さんの自宅(むつ市桜木町8の34)へはがきで連絡を。

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