あなたの近くにも…“危ない通学路”「ランドセルがぶつかりそうに」路側帯の幅は60センチの狭さ 親の呼び掛けで改善例も

身近にある「危険な通学路」や「危険な道路」。視聴者から寄せられた情報をもとに現場を訪ねました。

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「危険な通学路」として番組への調査依頼が届いたのは、浜松市の静岡大学付属・浜松小学校の前の市道です。登校風景を見てみるとー

<伊豆田有希記者>
「子どもたちは白線の内側を元気よく歩いているんですが、車がすれ違い始めると、かなり児童と車の距離が近くなっています」

静岡大付属浜松小の児童70人ほどが利用する通学路。路側帯の最も狭いところでは、幅60センチしかありません。

<静岡大付属浜松小の児童>
「ランドセルがぶつかりそうになった。狭いとこで」

視聴者からは「朝と夕方は一方通行にすべき」という意見が寄せられました。

長年、この道路の改善について考えてきた自治会長はー

<広沢自治会 小野哲会長>
「抜け道的になってるもんですから、車が多い」
Q.一方通行にはできない?
「一方通行にすることも検討されたんですけど、かえって一方通行にすると、車がスピードを出すということが考えられるもんですから」

危険な通学路に注目が集まるきっかけとなったのは、2023年10月に浜松市で下校中の児童3人が巻き込まれ、うち1人が意識不明の重体となった事故です。

この通学路を利用する子どもたちも「この道は怖い」と危険を指摘していましたが、根本的な対策はとられず、大きな事故が起きてしまいました。

浜松の事故を受け、すぐに動き出した自治体もありました。静岡県焼津市と警察は市内13校すべての小学校の通学路の道路状況を緊急で点検。すぐに改善すべきポイントが見つかりました。

<焼津市建設部 松田仁志道路課長>
「8路線について、グリーンベルトの横の区画線が薄くなっていることが確認された」

グリーンベルトには、歩道のない道路の路側帯を緑色に塗ることで、車両に通学路であることを認識させる狙いがあります。

自治体や警察発ではなく、PTAが呼びかけることで通学路の改善に繋がった例もあります。

<富士市PTA連絡協議会 服部英之会長>
「こちらは以前通学路だったんですけど、通学路の先の信号が危なかったんで、新たにこちらに通学路を変更しました」

静岡県富士市にある約40の小中学校のPTAでつくる連絡協議会は、各学校の保護者らに通学路の危険個所を洗い出そうと呼びかました。危険個所79カ所が寄せられ、安全対策を講じるよう自治体と警察に要望書を提出しました。

<富士市PTA連絡協議会 服部英之会長>
「ここはもともと川があって、水門があったとこなんですけど、歩道がここで切れてしまうんで、撤去して蓋をして歩道を確保しました。ポールも設置して」

危険が指摘された79カ所のうち、半数以上がすでに改善されています。

<富士市PTA連絡協議会 服部英之会長>
「学校から家までっていうのはすべての先生がすべての生徒を見守れないので。親や子どもたちから意見を抽出して、僕たちの力でなるべく、そこの安全レベルを上げていくことをしていかないと」

<伊豆田有希記者>
取材をすると親子が死亡した沼津市も小学生の重体事故が起きた浜松市も「何か」が起きないと解決策が講じられない現状があります。富士市のPTAの例のように、子どもなど大切な人の命を守るためには「誰か」が行動を起こすことが重要だと取材を通じて改めて感じました。

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