富山県氷見市で罹災証明書発行、再建へ前進 認定に再調査申請も

罹災証明書の発行が始まり、手続きや相談に訪れた住民=氷見市役所

 能登半島地震で大きな被害のあった富山県氷見市で22日、家屋の被害程度を示す罹災(りさい)証明書の発行が始まり、多くの住民が手続きや相談に訪れた。「全壊」「半壊」など認定の度合いに応じて受けられる公的支援の内容が大きく変わるため、再調査を求める人や、納得はいかないとしつつも「生活再建に向け前へ進みたい」と受け入れた人もいた。

 罹災証明書は公的な支援を受ける際などに必要な書類。22日現在、氷見市内で4278件の申請がある。市は12日から、家屋の外観を調べて被害度に応じ「全壊」から「一部損壊」まで6段階に分ける1次調査を進めており、22日現在で1056件が終わった。証明書発行の際、認定に不服がある場合は、家屋内部を見る2次調査に移る。

 証明書発行は、被害の大きかった北大町や栄町、間島、姿の住民を先行する形で市役所で始まった。初日は90人が訪れ、交付は81件だった。

 認定が「半壊」以上の場合、被災家屋の解体撤去費が公費で賄われたり、最大300万円の被災者生活再建支援金の対象になったりと多くの支援を受けられる。一方で「準半壊」「一部損壊」はこれらの対象外となるなど差は大きい。

 この日の窓口では複数の被災者が再調査を申請した。北大町で妻と2人暮らしの男性(62)は「一部損壊」の認定を受け、再調査を依頼。自宅は傾いて壁がひび割れ、扉が開かない。身を寄せる所はなく、現在も応急危険度判定で「要注意」となった自宅で暮らす。建て直す考えで「内部もしっかり調べてほしい。納得した上で支援を受け、建て直したい」と話した。

 応急危険度判定で「危険」とされた自宅の2階に家族3人で暮らす北大町の女性(75)は「再調査で判定が変わるのか、話を聞いても微妙だった」と話し、「一部損壊」の認定を受け入れた。市は2次調査の開始は2月に入ってからとしており、女性は「余震で家が段々壊れてくるし、(2次調査まで)ひと月も待つより早く次に進みたい。納得はしていないけどするしかない。前に進まないと…」と自らに言い聞かせるように語った。

 証明書を受け取った住民たちは、認定に応じて受けられる支援の窓口を回り、相談していた。先行して受け付ける地域以外の証明書発行は、市教育文化センターで25日から始まる。

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