佐世保市営住宅 1割減の4700戸前後に 現計画さらに集約し需給均衡へ 長崎

佐世保市は、供給過多になっている市営住宅の集約を進めていく=佐世保市内

 長崎県佐世保市は、供給過多で減らしている市営住宅の集約をさらに進める。2017年度に立てた計画から集約戸数を増やし、23年7月時点の約5300戸を40年までに1割強減らし4700戸前後にする想定。背景には人口減少で空き室が増えている現状があり、合併旧町で顕著となっているという。
 市は効率的に維持管理するため「市営住宅長寿命化計画」を13年度に策定。17年度の改正では、40年時点で約5200戸に集約する計画を立てていた。今回の目標値は、40年時点の需要推計戸数と、移転集約可能な戸数を踏まえてはじいた。計画は住宅政策の目標となる市住生活基本計画の策定に合わせて改定する。
 市住宅課によると、1980年以前に建築された住宅は3割を超え、全国と比べて古い建物が多い。旧耐震基準のため、地震災害発生時に倒壊などの恐れもあり、建て替えなどが必要となっている。
 空室率も右肩上がりの傾向が続く。2022年度時点で5352戸のうち入居は4189戸で空室率は21.7%。現計画を策定した17年度と比較すると6.5ポイント増え、入居者が減っている。特に旧町は入居者を募集しても希望者がいないこともあるという。
 原因の一つが人口減少だ。24年1月1日時点の推計人口は約23万3千人で、ピークだった10年と比べて約2万8千人の減。世帯数も10年比で2千世帯超が減った。同課によると、合併で旧町の公営住宅も管理しており、市営住宅数は他の中核市と比べても多く、需給バランスが崩れているという。
 こうした状況に市は、将来的な人口の動向や財政状況などを踏まえ目標管理戸数を調整している。市全域を複数のエリアに分け、エリアごとに生活利便性を維持しながら集約する方針。計画は新年度の公表を予定している。

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