【光る君へ】ザ・少女漫画な展開、新キャラは敵か味方か

平安時代の長編小説『源氏物語』の作者・紫式部の人生を、吉高由里子主演で描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。1月21日放送の第3回『謎の男』では、いろんな意味で少女漫画のような展開の連続に。特にまひろが貴族のトップオブトップ、源倫子のサロンに突撃する場面には、ネットにさまざまな意見が飛び交った(以下、ネタバレあり)。

『光る君へ』第3回より、町辻で再開する道長(左・柄本佑)とまひろ(吉高由里子)(C)NHK

■ 第3回「謎の男」あらすじ

放免(検非違使直属の下級役人)に捕まった三郎(藤原道長/柄本佑)を心配するまひろ(後の紫式部)の元に、「お前の案じている男は無事だ」と伝えに来た謎の男。その男こそ、放免に追われていた当人の直秀(毎熊克哉)だった。父・藤原為時(岸谷五朗)に代筆仕事をとがめられ、外出もままならないまひろだが、為時から左大臣・源雅信(益岡徹)の家で開かれる、姫たちの学ぶ会への参加をうながされる。

『光る君へ』第3回より、左から赤染衛門(凰稀かなめ)、藤原穆子(石野真子)、源倫子(黒木華)(C)NHK

その会で、雅信の娘・倫子(黒木華)に好感を抱いたまひろだったが、為時がそこに自分を送り込んだのは、倫子の嫁ぎ先を探るのが目的だったことを知る。間者にされたことに不満を感じるまひろだが、大っぴらに外出できる機会ゆえ、引き続き左大臣家に通うことに。そして、三郎が好きな散楽がおこなわれる辻まで足を伸ばしたまひろは、三郎と、散楽の一味だった直秀と、同時に再会を果たすのだった・・・。

■ 謎の男が橋渡し、王道のラブロマンスな演出

自分のミスで気になる男性が逮捕! という、母の死ほどじゃないけど結構ショッキングな「私のせいで・・・」エンドを迎えた前回だったけど、道長は割とすぐに父親の力で解放された。しかしこの第3回で注目なのは、まひろと三郎に絡んでくる「謎の男」の存在。NHKドラマの常連と言える実力派・毎熊克哉が、大河ドラマ名物の「便利に動けるフィクションの人物」的な存在となる散楽師・直秀として登場した。

『光る君へ』第3回より、謎の男として登場した散楽師・直秀(毎熊克哉)(C)NHK

早速まひろに、道長の無事を伝えるという大役を果たした直秀に、SNSは「直秀に惚れるなって方が無理。オタクはだいたい月夜に現れて颯爽と去っていく、風に吹かれて素顔が見える男前が好き」「最後の散楽でわざわざまひろの前行って、その後道長の所に行ってまひろの視線誘導した直秀、すごい気が利く良い男すぎて好き」「道長より性格的にイケメン」と、好意的なコメントが多数。

特にラストの、まひろと道長が直秀のおかげで劇的に再会するシーンには、「謎の男、グッジョブ!」「群衆の向こうに相手を見つけて、スローモーションで歩み寄るふたり。知ってるこれ90年代に見た! トレンディドラマだ!」「少女漫画やったら背景にバラのスクリーントーンが使われそう」「スローモーションで駆け寄る!少女漫画展開! でもこの引きの強さは週刊少年漫画!」という、王道のラブロマンス的な演出に絶賛の声が相次いだ。

■ 超お嬢様の集まりに放り込まれた主人公

しかし今回、視聴者がもっとザワついたのは、ある意味でこれも「少女漫画あるある」なシチュエーション「超お嬢様の集まりにド庶民の主人公が放り込まれる」展開。父親の遠縁という建前で、今だったら六本木ヒルズ上階の社長宅へパーティに呼ばれたような状況となったまひろ。最初は当然カチコチだったが、得意の漢字を生かしたゲームが登場すると途端に才女スイッチが入り、空気を読まずにひとり勝ちしてしまった。

『光る君へ』第3回より、得意な漢字を使ったゲームを楽しむまひろ(吉高由里子)と赤染衛門(凰稀かなめ)(C)NHK

これにはSNSで、「やんごとなきサロンに参加するための『才』のみで、伏魔殿に乗り込むヒロインに胸が高鳴る」「かるた総取りはやりすぎだろ(笑)」「まひろの接待カルタ下手くそ描写だけど、そもそもお父ちゃんも忖度下手くそで出世できないわけで」「容赦なく札を取るまひろさん、生真面目な性格や社交界に慣れていない感じが出ててほんと好き!」など、声援と忠告が入り混じった声があふれた。

そして今回初登場したご令嬢・源倫子に対しては「すごい空気になっちゃったのを、みなさんお勉強しなきゃダメですよ!ってオチにうまいこと持ってった倫子さま、相当コミュ力高い」「オタクにやさしいギャルだと思っていいんですか?」と、できた女性と取るか、「『すごーい』が本心なのか『お前気ぃきかへんなぁ』の婉曲表現なのか分からない」「はんなりと怖さの間を行き来しててヒョオオオってなります」と実は怖い人と取るか、意見が2つに分かれていた。

源倫子(黒木華)(C)NHK

これが本当に少女漫画なら「悪役令嬢」なんて言葉があるように、倫子様がまひろにつらく当たる・・・なんて展開も考えられるが、このあと2人は「不思議な関係」(公式紹介文より)を築くとのことなので、火花バチバチという感じにはならなさそう。無邪気で明るい役も、腹に一物を抱えたような役も、どちらも達者な黒木華(それにしても平安貴族の装束が激お似合い!)だけに、今後の絡みが非常に楽しみだ。

『光る君へ』はNHK総合では日曜・夜8時から、NHKBSでは夕方6時から、BSP4Kは昼12時15分からの放送。1月28日放送の第4回『五節の舞姫』では、即位した花山天皇の前で「五節の舞」を披露する舞姫に選ばれたまひろが、驚愕の事実を知るところが描かれる。

文/吉永美和子

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