元F1ドライバーのクルサード「サーキットごとに競争の変化が生まれる」とタイヤ戦争の復活を望む

 2023年にレッドブルが前例のない覇権を握ったことを受けて、元F1ドライバーのデビッド・クルサードは、2社のサプライヤー間のタイヤ戦争がF1に恩恵をもたらすと考えている。

 各チームはまだ2024年のマシンを発表していないが、レッドブルについては2023年シーズンの開発面のアドバンテージを考えると、この3月にバーレーンですぐさま力を発揮するだろうと予想される。だがクルサードは、タイヤ戦争を復活させることで競争の場が公平になり、ひとつのチームが支配的な地位を確立することがより難しくなるだろうと考えている。

 クルサードは、フェラーリとルノーがそれぞれのタイヤサプライヤーであるブリヂストンとミシュランとともに覇権をめぐって戦った2006年シーズンを、タイヤ戦争がいかにスリリングで予測不可能なレースにつながるかを示す例として挙げ、自身のポッドキャスト『Formula for Success』(FoS)で、「今はタイヤ戦争をしたいという希望はないかもしれないが、あったらいいと思う」と語った。

「サーキットに適したタイヤを持っているのはピレリだったこともあるし、議論の都合から言えば、ブリヂストンが適切なタイヤを持っていたこともあっただろう」

「地面に接する唯一のもの、つまりタイヤにもとづいて、サーキットごとに競争の変化が自然に生まれるだろう」

2006年F1ハンガリーGP デビッド・クルサード(レッドブル/ミシュラン)

 一方、FoSポッドキャストでクルサードのゲストを務めた元F1チームオーナーのエディ・ジョーダンは、彼の提案のメリットに納得せず、「自由になる大金なしに、どうやって競争を生み出せるか分からない」と述べた。

 F1がクルサードの提案を受け入れるかどうかは時が経てばわかることだが、進化し続けるモータースポーツの世界で魅力とつながりを維持しようとしているF1において、タイヤ戦争の将来に向けた議論が続くことは間違いない。

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