被災者に3週間遅れの年賀状 「日常少しずつ」 郵便局で引き渡し再開

再開した郵便局の窓口で年賀状を受け取った女性=24日午前9時5分、珠洲市上戸町

 日本郵便は24日、能登半島地震で被災した珠洲市、輪島市、能登町、穴水町の郵便局の一部で、窓口での郵便物や小包の引き渡し業務を再開した。珠洲郵便局では、窓口を訪れた住民が約3週間遅れで、3日以降に配達される予定だった年賀状を受け取り「地震で正月どころではなかった。少しずつ日常が戻ってきたことにほっとする」と表情をほころばせた。

 珠洲市では、営業開始前から十数人が列をつくり、順に年賀状などを受け取った。市内で福祉施設を運営する社会福祉法人「長寿会」職員の刀祢渓さん(31)は「施設を利用するお年寄りの中にはお子さんやお孫さんからの年賀状を楽しみにしている人も多い。早速、渡したい」と話した。

 清水法之珠洲郵便局長(55)は「デジタル時代だからこそ、人がしたためる年賀状は心に届く。引き渡し再開を被災地の一助にしたい」と意気込んだ。

 珠洲のほか、輪島市の輪島、門前、穴水町の穴水、能登町の能都、松波、柳田の各郵便局で窓口が再開した。受け取りには、運転免許証や保険証などが必要。穴水では、前日までにコールセンターに連絡するよう求めている。いずれも自宅などへの配達は引き続き休止する。

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