梅毒の感染者 長崎県内は過去最多の147人 2023年、前年の2.5倍に 

 性感染症の梅毒の感染者数が2023年、長崎県内で147人(暫定値)に上り、過去最多だった22年の約2.5倍となったことが県のまとめで分かった。国の調査によると、第4四半期の人口100万人当たりの感染者数は全国で8番目に多く増加傾向。県は早期検査や予防を呼びかけている。
 性別では男性が91人、女性が56人。7人が妊娠中だった。年代別では、男性は20~50代が多く、女性は20代が約5割を占めた。保健所別の割合は佐世保市が最多で長崎市と合わせて7割を超えた。
 男性の感染者のうち、性風俗産業の利用歴は「あり」が約4割、「なし」が約3割だった。全国的に同様の傾向で、性風俗産業の利用だけでなく、マッチングアプリの普及などによる出会いの機会の多様化を、増加要因に挙げる専門家もいる。県の担当者はこうした指摘に対し「県として詳しい調査ができていない。感染経路の特定につなげられるような調査の必要性は感じている」との認識を示した。
 梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌に感染して発症する。潜伏期間は3~6週間で性器や口などの感染部位にしこりができ、全身に発疹が広がるほか、発熱や倦怠(けんたい)感などさまざまな症状が出る。
 県内の各保健所では無料検査を実施しており、担当者は「感染が疑われる場合は早めに検査を受けてほしい」と話す。感染予防にはコンドームの適切な利用が有効とされ、不特定多数の人との性的接触を避けることが重要という。

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