「ポリオ根絶の活動知って」青森県チーム、パキスタンでワクチン投与奉仕

坂井教授(奥)からポリオワクチンの投与を受けるパキスタンの子ども(坂井教授提供)
パキスタンの子どもにポリオワクチンを投与する佐藤さん(坂井教授提供)

 青森県内のロータリークラブの会員ら11人が昨年12月、ポリオの根絶を目指す国際的な奉仕活動の一環として、パキスタンを訪れ現地の子どもたちにワクチンを投与する活動に携わった。チームの一員として参加した青森中央学院大学看護学部(青森市)の坂井哲博教授(69)と、同大卒業生の看護師佐藤菜々子さん(24)=県立中央病院勤務=は現地での活動を振り返り、「ポリオで困っている人がいるという現実や社会の実情、根絶を目指す活動をより多くの人に知ってほしい」と願った。

 ポリオは特に乳幼児がかかりやすい病気で、ウイルスが入り込み神経を侵すと、手足などがまひする症状が現れる。まひが一生残る場合もある。パキスタンは、世界の中で野生株による感染が現在も続いている2カ国のうちの一つとなっている。

 坂井教授、佐藤さんが加わる青森県のチームは昨年12月3~5日にパキスタン南部の都市カラチに滞在し、駅や軍の検問所を巡ったり地域内を戸別訪問したりして、未接種の子どもたちを探しワクチンを投与した。

 佐藤さんは、現地のにおいや住環境から衛生状態の厳しさを実感し「日本で見る景色とは違って衝撃だった」と振り返る。住民や家族のつながりが強く、「私たちの訪問が、すぐにみんなに伝わった。ワクチンを受けたことのある子どもが、小さい子を連れて『ワクチンを受けさせて』と寄ってきてくれた」場面もあったという。

 坂井教授は、ポリオを発症した子どもと会った。「もうちょっと早くワクチンが届けば防げたのでは。いったん発症すると、感染が広まる可能性も高まる」と、子どもの症状や感染状況の悪化を気にかける。

 活動を終え、佐藤さんは「ポリオは、発症すると一生付き合わなければいけない重い感染症だとあらためて実感した。根絶への活動が、どれほど大事かを知った」と話した。坂井教授は「ポリオがなくなるまで、活動は続ける必要がある。厳しい社会情勢の地域や、世界の隅に追いやられているような地域が現実にあることも、若い人たちに伝えていきたい」と語った。

© 株式会社東奥日報社