能登半島地震で被災した石川県七尾市の避難所で、住民の福祉的支援に当たった青森県の災害福祉支援チーム・DCAT(ディーキャット)第1陣が24日、青森市の県民福祉プラザで活動を報告した。現地では、長引く避難生活で心身に不調が現れていた被災者への対応や、福祉ニーズの把握に手が回っていなかった避難所の支援に携わった。DCATの活動そのものの周知や、避難生活を送る人たちとの信頼関係づくりに難しさがあったと振り返った。
DCATは大規模災害時に被災地で活動する福祉専門職のチーム。支援が必要な人の把握、避難者の相談対応、心のケアや運動機能改善などの役割を担う。青森県の第1陣は、楽晴会(三沢市)の月舘健司さん(46)、徳誠福祉会(青森市)の工藤祐輝さん(43)、千年会(弘前市)の三橋友行さん(35)に、後方支援を担当する県社会福祉協議会の北山亮次主事が加わった。七尾市の御祓(みそぎ)地区コミュニティセンターを拠点に、移動日を含め19~24日に活動した。
避難所の住民は高齢者が多く、外出する機会が少なくなった影響で体の動きが鈍っていた。チームは、外に出て体を動かす機会につながるよう、食事を屋外で配る方法を提案。避難生活にストレスを感じている子どもたちの不安を和らげるため、資材を整理してできたスペースに遊び場を設け、一緒に遊んだりもした。
リーダーを務めた月舘さんは「福祉を担当する七尾市の職員から、避難所の詳しい様子が把握できておらず、DCATがどんな活動をするのかも分からないという話をされた」と、現地の状況を説明。他県の福祉チームや保健師・看護師などの職種と協力しながら、複数の避難所の支援ニーズ把握を進めた。活動を通じて「まずは避難所と福祉部署とのつながりが持てた。今後の個別支援に役立つのではないか」と話した。
工藤さんは「避難者が私たちのことを分からない段階から、活動がスタートする。私たちの活動を知ってもらうため、信頼関係づくりを意識し、傾聴を心がけた」と強調。三橋さんは避難所を巡る中で、入浴や理容など生活の質に関わる避難者のニーズを感じ取った。「必要な支援先につなげるために、避難者のニーズに気付くのが、私たちの大事な仕事だ」と語った。
青森県のDCATは2月5日まで、計5チームの派遣を予定している。