実は日本の「アシックス」と契約していた欧州の6チーム

日本が世界に誇る老舗スポーツメーカー『Asics(アシックス)』。現在はヴィッセル神戸やFC今治のユニフォームサプライヤーとしても知られている。

かつてAsicsは欧州サッカー界に進出し、メジャーからマイナーまで様々なチームを手掛けていた。とりわけ1990年代はイングランド、2000年代はイタリアで目立った活動を行っている。

ただ、契約期間が比較的短かったために忘れられているような(あるいは知られていない)チームも多い。ここではその中から6チームを選んでご紹介しよう。

ボルドー

ジロンダン・ボルドー 1995-96 Asics ホーム ユニフォーム

Asicsとの契約期間:1994-1996年

近年はadidasやPumaのイメージが強いボルドーだが、90年代以前は様々なメーカーとサプライヤー契約を結んでいた。その中の一つがAsicsだ。

ボルドーとの契約は1994-95、1995-96の2シーズン。後にユヴェントスやレアル・マドリーで活躍し世界的な大スターとなるジネディーヌ・ジダンが所属していた時代である。

Asicsとの契約時に使用したキットカラーは、ホームにワインレッド(バーガンディ)、アウェイにブルー。クラブ伝統のネイビーを放棄していた時代で、熱心なサポーターには微妙な評価を受ける一着だ。なお、le coq sportifと契約した翌シーズンからネイビーが復活している。

アストン・ヴィラ

アストン・ヴィラ 1993-95 Asics ホーム ユニフォーム

Asicsとの契約期間:1993-1995年

プレミアリーグのアストン・ヴィラもAsicsとの契約経験があるチーム。プレミアリーグの創設2シーズン目だった1993-94シーズンにパートナーシップを開始したが、翌1994-95シーズンで早くも終了に。わずか2シーズンのみの関係だった。

キットカラーは伝統的なレッドとブルーだが、どちらも80年代・90年代の他のユニフォームに比べ少し明るめの色調。ピンストライプ柄の使用もこのクラブにしては珍しいが、これは前出のボルドーと同じデザインで一種のテンプレート。

このユニフォームを着たプレミアリーグは、93-94シーズンは10位、94-95シーズンは18位。この2シーズンのみ胸に乳製品メーカー「Müller」のロゴを付けている。

北アイルランド

北アイルランド代表 1996 Asics ホーム ユニフォーム

Asicsとの契約期間:1994年-1997年

Asicsがサプライヤーを担当した代表チームが本当に数少ないが、その中でも真っ先に浮かぶのは日本代表という人がほとんどかもしれない。だが、実は欧州代表チームのサプライヤー経験もある。その一つが北アイルランド代表だった。

北アイルランドとの契約期間は1994年から97年まで。これは大まかな期間で、実際のキット着用期間は若干前後するかもしれない。Asicsのユニフォームを着てEURO1996予選や1998フランスW杯・欧州予選などを戦っている。

1994モデルは緑と紺の大胆な4分割柄を採用。アウェイにも同じく赤と白の4分割柄を採用していたが、どちらもファンには不評だったようだ。

ボルシアMG

ボルシア・メンヘングラートバッハ 1994-95 Asics ホーム ユニフォーム

Asicsとの契約期間:1993年-1995年

今季は板倉滉と福田師王が所属する古豪ボルシア・メンヘングラートバッハにもAsics時代がある。契約期間は1993年から95年で、どちらもブンデスリーガ1部に所属していた。

Asics最初のユニフォームだった93-94モデルはシンプルでおとなしめのデザインだったが、その次に登場したこの94-95モデルは斬新すぎる変則ストライプデザイン。当時のAsicsは欧州の伝統的なデザインを打ち崩す革新性を持ち合わせていた。

斬新デザインのユニフォームを着た94-95シーズンは、実に22年ぶりとなるDFBポカール(ドイツ杯)優勝を成し遂げた。そんな記念すべきシーズンのデザインはモダンなスタイルにアップデートされ、今季のアウェイ・サード両ユニフォームで復活している。

ニューカッスル

ニューカッスル・ユナイテッド 1993-95 Asics ホーム ユニフォーム

Asicsとの契約期間:1993年-1995年

ある意味ではAsicsが欧州で最も大きな成功を収めたユニフォームと言えるかもしれない。

ニューカッスルとは1993-94、94-95の2シーズンで契約。この期間にリリースしたホームユニフォームはこの1つだけだが、試合によって胸スポンサーのビール会社「McEwan's」は2種類のロゴを使い分けていた。

13シーズン続いたUmbroとの契約が終了し、新たにAsicsが登場。最初にして最後のホームユニフォームは、そのシンプルで洗練されたデザインがサポーターに大好評だった。この雰囲気は後に登場するヴィッセル神戸のユニフォームにも通じるものがある。

このユニフォームを着たプレミアリーグでは、93-94シーズンが3位、94-95シーズンは6位とどちらも好成績。サポーターの記憶に強く残るユニフォームとなった。

ギリシャ

ギリシャ代表 1980 Asics アウェイ ユニフォーム

Asicsとの契約期間:1980年-1981年、1990年-1992年

北アイルランド代表とともにAsicsがサプライヤーを担当した数少ない代表チームがギリシャ代表だ。だが当時のギリシャのユニフォームについては資料が乏しく不明な点も多い。そもそも掲載可能な写真もほとんどなく、説明に苦慮するチームだ。

両者の最初の契約は1980年。ユニフォームの具体的な使用期間は不明だが、グループステージを最下位で終えた1980年の欧州選手権(EURO1980)前から、翌年までだったと思われる。

実はEURO1980で着用したユニフォームはサプライヤーロゴが隠されている。当時はブランドロゴの掲出が認められてなかったからで、多くのチームはロゴを外して大会に臨んだ。ロゴ付きユニを着用の場合は、このギリシャのようにテープなどで覆い隠す措置が取られている。

これではAsicsかどうかに確認が出来ないのだが、EURO1980でAsicsのユニフォームを着ていたのは間違いない。当時は同じデザインで白いホームユニフォームを使用していたが、そちらは現存する選手着用ユニフォームで“メキシコストライプ”と呼ばれていたAsicsのストライプロゴを確認できる。

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ちなみにギリシャはロゴを隠さず着用した試合があり、大会後に罰金処分を受けたようだ。

両者は90年代初頭にも再びコンビを組んだが、1年半ほどで契約は終了に。Asicsに代わりDiadoraが新サプライヤーに就任となった。

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