犬が『分離不安症』になりかけている症状4選 見逃すべきではない初期症状と今からすべき対処法とは

️分離不安症とは?

数十年前までわんこは外で飼うのが一般的でしたが、近年ではむしろ室内飼いの家庭が大多数を占めています。また、わんこを「ペットではなく家族の一員」と捉える考え方も浸透してきて、人間とわんこの距離は急速に近づいてきました。

もちろんそのこと自体は悪いことではありません。ですが人間とわんこの距離感の変化によって顕在化してきた問題が、今回ご紹介する「分離不安症」です。

分離不安症とはその名の通り、わんこが飼い主さんと離れていることに大きなストレスを感じ、心身に異変をきたしてしまう状態のことを言います。

️要注意!分離不安症になりかけている症状

1.いつも後ろを付いてくる

家事をしているときはもちろん、トイレに行くときもお風呂に行くときも、家の中を飼い主さんが移動するたびに愛犬が後ろをぴったりくっついてくる。そんなわんこの「後追い」は何とも愛おしく、「私って必要とされている!」と感じて母性本能をくすぐられるという人も少なくないかもしれません。

お迎えしたばかりの子であったり、パピー期の子犬であれば大きな問題はないのですが、お迎えしてからしばらく経ち成犬期に入っても後追いが続くという場合は、分離不安症になりかけている可能性も否定できません。

2.姿が見えないと無駄吠えする

家の中での後追いはある程度は許容できても、さすがにトイレやお風呂までは一緒に連れて行くことは、心理的にも物理的にもなかなか難しいですよね。

飼い主さんがトイレに入っているときやお風呂に入っているときなど、ドアの前で大人しく伏せて待っているという子も多いでしょう。

大人しく待っているだけなら良いのですが、飼い主さんが用を足している間、激しく吠え立てたり「ピーピー」「キュンキュン」と切ない声を上げたりしてしまう、ドアを引っ掻いてしまうなどの行動をとって待ちきれない様子である場合は注意が必要です。

3.クレートやケージに入っていられない

ハウストレーニングはわんこの基本的なしつけの1つです。ですがどうしてもハウストレーニングが上手くいかない、クレートやケージに入っても短時間しか我慢できずに「出してほしい」と大騒ぎしてしまうなどの場合、分離不安症になりかけているかもしれません。

ハウストレーニングができていないと、ペットホテルなどに預けざるをえない場合に大きな支障をきたすのはもちろん、無理やりクレートを壊そうとして怪我をしてしまう可能性もあり大変危険です。

4.お留守番中に破壊行動をしてしまう

ひとりぼっちでのお留守番の際に問題行動を起こしてしまうのは、分離不安症の代表的な症状です。

家の中のものを手当たり次第に壊してしまったり、いつもは失敗しないトイレを失敗してしまったり、近所迷惑になるほどの激しい無駄吠えをしてしまったりします。ここまで来ると初期症状の段階から一歩進んでしまっているとも言えるでしょう。

️分離不安症の対処法

愛犬に分離不安症の兆候が見られたら、それは愛犬との距離感を見誤ってしまっている証拠です。何よりも有効な対処法は「適切な距離感をとること」に尽きます。常に一緒にいてベッタリとスキンシップをとっているのではなく、お互いに「ひとりの時間」を設けるようにすべきです。

まずはわんこがひとり遊びできるおもちゃを与えてみる、長持ちおやつに夢中になっている間に隣の部屋などに姿を消してみるなどといったことから試してみましょう。

️まとめ

いかがでしたでしょうか?「分離不安『症』」と名前がついている通り、分離不安は立派な疾患の1つです。分離不安は問題行動だけでなく下痢・嘔吐などの体調不良にも直結することがあるのです。

今回ご紹介した対処法を試しても効果がない場合や、もはや試すことすら難しいというような状態の場合には、すみやかに動物病院を受診しましょう。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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