能登島の宿が再起へ奮闘 全国からの支援を力に

被害を免れた食器を整理する石田さん=七尾市能登島祖母ケ浦町

  ●避難所では子どもの世話

 地震後に一時孤立した七尾市能登島の避難所で、民宿「山水荘」(能登島祖母ケ浦町)を営む石田直人さん(40)が、子どもたちの世話や炊き出しに奔走している。宿は建物の損壊に加え、断水の長期化で営業再開が見通せない。廃業も検討したが、全国から寄せられる支援に背中を押され「観光地の能登島を取り戻す」と再起を誓う。

 1日は土砂崩れなどで道路が寸断され、宿泊者25人と高台で一夜を過ごした。全員無事だったが、外壁などが崩れ、食器は半分が使い物にならなくなった。

 キャンセルは約千人に上り、売り上げの損失は1500万円以上という。「店が復活しても客は戻るのか」との不安が頭をよぎったが、全国の常連客らから支援物資や激励が届き、宿の再建を決めた。

 宿の片付けとともに続けるのが、能登島地区コミュニティセンターでの炊き出し。島内の子どもが通う能登島小は再開しておらず、仕事で親が不在になる児童らに昼食を提供して遊び相手にもなっている。

 民宿にかかる毎月100万円の固定費負担が大きく、営業再開に向けてインターネット上で寄付を募り始めた。いつ日常を取り戻せるか分からないが、石田さんは「大好きな能登島と一緒に復活したい」と前を向いた。

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