香り漂う“白じゅうたん” ゆで干し大根作りが最盛期 西海・面高地区

ゆで上がったダイコンをやぐらに広げる生産者=西海市西海町

 冷たい季節風にさらされ、“白いじゅうたん”から立ち上る湯気-。長崎県西海市西海町の面高地区で、特産の「ゆで干し大根」作りが最盛期を迎えている。
 地元で「大根風」とも呼ばれる北西からの強い海風を利用した同町の伝統的な保存食。JA長崎せいひによると20戸の農家が生産しており、主に九州内や関西へ出荷している。
 今期の作業は昨年11月半ばにスタート。収穫した大ぶりの品種「大栄大蔵(だいえいおおくら)大根」の皮をむき、千切り状に。ゆで上げた後、海沿いに立つやぐらの上に広げ、一昼夜かけて乾燥させる。
 海面からの高さ30~50メートルの崖からせり出すように作られたやぐらの一帯では、湯気と独特の香りが漂う。海からのミネラルたっぷりの風でうまみと甘みが濃縮されたゆで干し大根は、煮物やサラダなどの食材として人気があるという。

あめ色に変わったダイコンを見学する児童たち

 13日は、同JA西海支店ゆでぼし大根部会の髙浦勝宏部会長らの案内で、古里の食について学んでいる市内の小学生が、断崖絶壁に並ぶやぐらを訪問。ゆでたてと、前日から干されあめ色に変わったダイコンを試食し、「甘い」「おいしい」と声を上げていた。
 作業は2月いっぱいまで続く。

© 株式会社長崎新聞社