若者たちの薬物乱用が増加中… 「大人」ができる取り組みとは…?【アナたにプレゼン・テレビ派】 

【動画】若者の薬物乱用を防げ【アナたにプレゼン・テレビ派】

広島テレビのアナウンサーが、気になるテーマを自ら取材して、お伝えする『アナたにプレゼン』。馬場のぶえアナウンサーのテーマは「子育て」や「福祉」。今回は「若者を薬物乱用から守るには?」です。

今、大学生が大麻を所持し逮捕されるなど、若い年代への大麻の広がりが問題になっています。大麻取締法違反の疑いで検挙された、広島県内の10代、20代の人数です。2023年は63人で、2022年のおよそ1.6倍と、近年、増加傾向にあります。

全国の精神科を受診した患者が、どの薬物を使用したかというデータによると、20歳代は大麻が圧倒的に多いです。そして、次に市販薬と続きます。市販薬というのは、風邪薬や咳止めなどを大量に服用する、いわゆるオーバードーズで、こちらも問題になっています。

若者の大麻の使用が増えている理由について、薬物やアルコールなどの依存の啓発や予防に努めている、瀬野川病院の加賀谷先生に話を聞きました。まず、海外での大麻の合法化です。海外では、大麻を合法としている国があり、使っても大したことないんじゃないかと考えてしまう人がいます。加賀谷先生は、「覚醒剤に比べると依存性は少ないかもしれないが、大麻の長期的な影響などはまだわからない部分も多い」と警鐘を鳴らします。そして大事なことは、日本では、大麻は持っているだけでも、譲り渡しに譲り受け、栽培なども犯罪です。また、ネットで違法に入手できてしまう環境があることや、SNSの偏った情報、例えば「大麻は悪いものではない」という一方的な意見など、全部が正しいものではなく、ネット情報を鵜呑みにすることがないように、先に正しい情報を子供たちに入れておいた方がいいのことです。

さらに、薬物を人が使用してしまう根底には「つらさから逃げたい気持ち」があると言います。最初は興味本位で、つらさを解消するために使うようになり、そうすると、今度は使ったことを後悔してさらにつらくなり、また薬物を使ってしまうという悪循環に陥ってしまうということです。加賀谷先生は、大麻に手を出す若者にも、悩みを相談できる相手がいないこと、孤独感から居場所を失うのが怖く、仲間に誘われると断れないといった背景もあるのではないかと話します。

そんな中、20年以上薬物乱用防止活動に取り組んでいる団体『広島フェニックスライオンズクラブ』では、会員が認定講師の資格を取り、小学生から大学生を対象にした乱用防止教室を、これまで200回以上開催してきました。さらに、2009年からは大学と連携して学生講師を育成し、小学校・中学校・高校へ派遣しています。

12月に、大竹中学校で行われた広島ライオンズクラブによる『ダメ。ゼッタイ。』教室を取材しました。

子供たちを前に、薬物乱用防止指導員の横路望(よころ・のぞむ)さんが発した一言ご紹介します。

「将来、この中の40人に1人が薬物に手を出し、4人に1人が誘いを受けます。」

統計上、40人に1人は、人生で1度でも違法薬物を使った経験があり、だいたいクラスに1人という割合になるということです。また、誘われる人は使用者の10倍相当と言われます。子ども達が具体的なイメージができるようにと、この言葉を投げかけたそうです。そして横路さんは、「薬物に手を出すことで、自分の思い描いていた将来を進めなくなってしまう、それが薬物の怖さの1つだ。」ということも、強く訴えていました。

そして、この教室では薬物の危険性や、誘われた時の断り方、さらに使ったことによって家族や周囲の大切な人が離れていってしまうといった事例など、VTRで紹介されました。

そして、この教室を聞いた生徒の皆さんは、「薬物は体だけではなくて、人間関係も終わっていくと思った。」「しっかりと断る意思を持とう」と話していました。乱用の怖さはもちろん、使うことでその人生に悪影響を与えてしまうことを、生徒たちは感じ取ったようでした。家庭などでも薬物の話をタブーとするのではなく、子どもに恐ろしさを伝えたり、使用したいと思わせない社会を作ることが大切だと感じました。

【テレビ派 2024年1月24日放送】

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