甘エビかご漁始まる 富来漁港、漁師「遅れ取り戻す」

甘エビのかご漁に向け、準備を進める関係者=志賀町の富来漁港

 地震や津波被害で初出漁が見送られていた富来漁港(志賀町)で27日、冬の風物詩である甘エビのかご漁が始まった。例年は6日解禁で、3週間遅いスタートとなった。初日は出漁を予定する5隻のうち3隻が操業し、漁師たちは「出遅れた分を取り戻すぞ」と気合を入れて沖へ向かった。

 富来漁港では地震の影響で岸壁が約1メートル隆起。荷さばき所や船揚げ場周辺でひび割れが多数確認され、魚を運ぶ電動リフトも使えなくなった。27日までに補修工事が行われ、再開にこぎつけた。

 県漁協西海支所エビかごの会の干場伸也会長(63)によると、会員25人のほとんどが車中泊や避難所生活を経験。かご漁用の漁船1隻が津波被害を受けた。

 27日は漁師が餌となる塩漬けしたニシンを仕込んだ直径約60センチ、高さ約40センチのかごを船に積み込み、夕方に出漁して沖合30~40キロの水深約300メートルに仕掛けた。干場会長は地震で地形が変わって甘エビの生息域が変わっている可能性があるとして「期待半分、不安半分」と話した。

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