心身癒やされ「天国や」 宇奈月の湯に輪島市民

露天風呂で体を癒やす輪島市の被災者=黒部市宇奈月温泉のホテル

  ●26日、避難の58人

 能登半島地震で甚大な被害を受けた輪島市の被災者は27日、集団避難先である黒部市宇奈月温泉の宿泊施設で温泉にじっくりと漬かり、湯の街を散策するなどして心と体を癒やした。

 被災者を受け入れているのは、湯快リゾート宇奈月グランドホテルで、石川県が2次避難先として登録している。輪島市からは26日夜に58人が到着した。

 「ここは天国みたいや」。妻と2人で身を寄せる谷元義弘さん(71)=町野町=は自宅車庫での暮らしから解放され、笑顔を見せた。自宅は形は残るが基礎や屋根が壊れて生活できず、車庫での生活を余儀なくされた。断水と停電が続いており、ストーブ2台で暖を取り、ろうそくの明かりで過ごしてきた。ホテルや黒部市の協力に「皆さんに感謝したい」と話した。

 1週間ぶりに入浴した70代女性は「生き返った。自衛隊さんの簡易の風呂も良かったけど、温泉地の湯は違う」と火照った顔で声を弾ませた。

  ●露天風呂の星空感動

 中山勇人さん(61)=町野町=は露天風呂で星空を眺め「いやぁ、きれいやね」とぽつり。20年以上前に母親の還暦祝いで宇奈月温泉の別の宿泊施設に訪れたと言い、「まさかまた来るとは思わなかった。湯は浮きたくなるぐらい気持ち良く、ぜいたく過ぎるぐらいだ」と感謝した。

 27日は天候にも恵まれ、温泉街にある足湯や、トロッコ電車の始発駅である黒部峡谷鉄道宇奈月駅などで観光を楽しむ被災者の姿も見られた。

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