中国、笑いのセンスも検閲 芸人を監視、軍風刺で排除

お笑い芸人らによるトークショーが行われる劇場=22日、北京(共同)

 「中国共産党や軍をネタにするな」―。中国当局がお笑い芸人への監視を強めている。若者が集まるトークショーで政治的な話題や党批判につながる内容が含まれていないか検閲し、軍を皮肉ったと見なされた芸人は活動停止に追い込まれた。強まる統制は笑いのセンスにまで介入している。

 昨年、犬が懸命にリスを追いかけている姿を見て「仕事ぶりが優れ、戦争に勝てる」という軍のスローガンを連想したとショーで述べた男性お笑い芸人の発言が、「軍を侮辱した」として交流サイト(SNS)で炎上。当局は所属事務所に罰金1335万元(約2億7千万円)を科し、本人は業界を追われた。

 トークショーでは日常生活や職場での「あるあるネタ」や身の回りに起きた面白い話がほとんどで、政治的に敏感な話題を取り上げることは少ない。中国では言論統制があり「芸人は皆、触れていい話と駄目な話を判断できる。事件後は当局の怒りを買わないようにより慎重になった」(同男性)。最近は舞台前にカメラが設置されることもあり当局が内容をチェックしているという。(広州共同)

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