条件見直しが必要…順天堂大側が埼玉県内医師派遣人数を新たに提示 当初より人数増も懸念残る内容に

順天堂大学医学部付属病院の整備予定地=2021年、埼玉県さいたま市緑区

 埼玉県医療審議会(金井忠男会長)が26日、さいたま市浦和区で開かれた。県は、さいたま市美園地区で新病院整備を計画している順天堂大学がこれまで「(当面)年間1~2人」などとしていた県内医師派遣人数を、「開院3年後までは年に2人、段階的に増やし開院5年後以降は年に20人」と提示したことを報告した。金井会長が人数増加や条件の見直しなど要望をさらに検討した上で、大野元裕知事に答申することを決めた。

 昨年12月に開催された前回の審議会では、一部の委員が「派遣人数が少なすぎる」と難色を示し、答申が見送られた。金井会長は12日、順大とウェブで協議し、各委員の意見を伝えたという。

 順大の計画では、人数は毎年増えるのではなく、継続して勤務すると翌年の派遣者数にも数えられる。常勤または半年間のローテーションの場合もあるという条件を示している。加須病院には昨年2月、専門医1人が派遣されたが、その後、研修医に交代した。

 委員の一人は「研修医で派遣1人とは考えにくい。半年のローテーションでは継続して医療を続ける意思がない可能性がある」と懸念した。金井会長も審議会後、報道陣に「(順大の)計画のままでは答申できない。条件も見直しが必要」と話した。

 秩父市立病院には近く医師が派遣される見通しという。

 県はこれまでに医師派遣の状況などを勘案し、整備費用の一部を補助するとの確認書を順大側と交わしている。医療審が知事に答申し派遣人数などが整えば、費用負担を含む病院建設計画が進展するとみられている。

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